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美しい色合いと生き物たちの躍動感。

青蓮院門跡もぜひ訪れて欲しい寺院。親鸞聖人お手植えと伝えられる樹齢800年、巨大なクスノキが拝観者をお出迎え。目指す襖絵は殿舎に入ってすぐの華頂殿で待っています。

三千院、妙法院と並び、天台宗総本山比叡山延暦寺の三門跡のひとつ。拝観入口右手の長屋門と四脚門は明正天皇の中和門院の旧殿の門を移築したもの。
仏教絵画史の名品と言われる国宝「絹本着色 青不動明王二童子像」を所蔵(通常は非公開)。名庭園や境内の青いライトアップでも知られる。
樹齢800年。クスノキの巨木は境内の宸殿前に1本、神宮道で4本が並ぶ。
目的の襖絵は和紙・鳥の子紙に現代の画材であるアクリル絵具を使う。鮮やかな発色に目を奪われる。

“Ki-Yan”こと木村英輝氏の六十面からなる三部作の大作で主題はロータス(蓮)。淡い水色で描かれた「青の幻想」、赤青黄白の蓮が並ぶ「極楽浄土」。そして、子供たちが絶対にワクワクするのが華頂殿入口の部屋を囲む「生命賛歌」でしょう。カニ、カメ、トンボにカエル……蓮の合間にもさまざまな生き物たちが躍動感たっぷりに描かれています。いったい何匹いるのか、どこに隠れているのか、ぜひ探してみて欲しい、楽しい作品。

華頂殿の庭園を臨む大広間に蓮を描いた襖絵が広がる。もともとは唐紙という紙に木版でお寺の紋を手刷りした襖だったそう。「青の幻想」が描かれた間。
「極楽浄土には池があり、赤青黄白の蓮が咲く」と記された阿弥陀経の世界を表現した「極楽浄土」。
三十六歌仙が飾られる華頂殿の入口。入ってすぐが、生き物たちが躍動する「生命賛歌」。
青蓮院門主の希望もあり、座って鑑賞することを前提に絵の高さが抑えられる。いまにも畳にでてきそうなカニ。
躍動感いっぱいのカルがあちらこちらで跳ねる。子供たちの目線だからこそ見つけられるものがあるかも?
カメもリアルな姿でひょっこり現れる。庭へ出て、池に飛び込むのかなぁ……。
金色に輝くトンボ。蓮の葉や花の間で暮らす水辺の生き物たちが生き生きと描かれる現代の襖絵。もちろん触るのはNGですよ。

「最初はびっくりしました(笑)。でも、お寺や阿弥陀経に興味を持ってもらうきっかけになっています。お寺は古い事物を伝える役割がありますが、新旧のバランスをとるのに新しいものは必要ですね」と執事・岡島秀樹さんも笑顔を見せる。

狩野派をはじめ著名な絵師たちの作品が数多く残る青蓮院門跡にあって、木村さんの作品はあまりにもモダン。障屏画の世界は今大きな変化を遂げ始めており、子供たちにも受け入れやすい画風が増えています。

「襖絵には阿弥陀経に表される極楽浄土の世界観が描かれています」と執事・岡島秀樹さん。
杉戸絵に描かれた祇園祭の山鉾。今年は3年ぶりに祇園祭も開催されたが、往時の雅な雰囲気を感じる。(※許可を得て撮影しています)
重要文化財「濱松図」。宸殿と小御所にはこうした多くの歴史的な襖絵がある。(※許可を得て撮影しています)
孔雀の障壁画は日本画家の黒田正夕によるもの。宸殿から続く大玄関の大作「日月松桜百鶴図」も見応えあり。(※許可を得て撮影しています)
華頂殿から眺める相阿弥作の庭は圧巻の美しさ。お抹茶をいただきながら眺める夏の庭。しばし暑さも忘れる時間。
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おとなの週末Web編集部
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