美しい色合いと生き物たちの躍動感。
青蓮院門跡もぜひ訪れて欲しい寺院。親鸞聖人お手植えと伝えられる樹齢800年、巨大なクスノキが拝観者をお出迎え。目指す襖絵は殿舎に入ってすぐの華頂殿で待っています。
“Ki-Yan”こと木村英輝氏の六十面からなる三部作の大作で主題はロータス(蓮)。淡い水色で描かれた「青の幻想」、赤青黄白の蓮が並ぶ「極楽浄土」。そして、子供たちが絶対にワクワクするのが華頂殿入口の部屋を囲む「生命賛歌」でしょう。カニ、カメ、トンボにカエル……蓮の合間にもさまざまな生き物たちが躍動感たっぷりに描かれています。いったい何匹いるのか、どこに隠れているのか、ぜひ探してみて欲しい、楽しい作品。
「最初はびっくりしました(笑)。でも、お寺や阿弥陀経に興味を持ってもらうきっかけになっています。お寺は古い事物を伝える役割がありますが、新旧のバランスをとるのに新しいものは必要ですね」と執事・岡島秀樹さんも笑顔を見せる。
狩野派をはじめ著名な絵師たちの作品が数多く残る青蓮院門跡にあって、木村さんの作品はあまりにもモダン。障屏画の世界は今大きな変化を遂げ始めており、子供たちにも受け入れやすい画風が増えています。