月刊誌『おとなの週末』の好評連載「口福三昧(こうふくざんまい)」(計146回)は、漫画家のラズウェル細木さんが、試行錯誤を繰り返しながら食を楽しむ様子を描いた漫画エッセイです。2021年6月には、連載をまとめた単行本『ラ…
画像ギャラリー月刊誌『おとなの週末』の好評連載「口福三昧(こうふくざんまい)」(計146回)は、漫画家のラズウェル細木さんが、試行錯誤を繰り返しながら食を楽しむ様子を描いた漫画エッセイです。2021年6月には、連載をまとめた単行本『ラズウェル細木の漫画エッセイ グルメ宝島 美味しい食の探検へ』(講談社ビーシー/講談社)が刊行されました。単行本未収録の雑誌掲載作を『おとなの週末Web』で特別公開します。ラズウェルさんの“自作解説”とともに、お楽しみください。
“断トツ”に美味しかったのは、混ぜる文化の国の料理
今回ご紹介するのは、「中華&韓国料理で“生春巻定食”にトライ」の回(『おとなの週末』2021年9月号掲載)です。前回の「具材たっぷり!生春巻で定食作り」の続編です。
生春巻はベトナム料理のひとつで、「エビや肉、生野菜などをライスペーパーで巻いた料理」(「デジタル大辞泉」より)。この定番とは別の具材を使い、ライスペーパーを「ご飯」ととらえて「定食」に見立てる趣向です。
前回はハンバーグを巻くなどして「洋食」「和食」の2部門での挑戦でしたが、今回のメインは「中華」部門3品。これに「韓国料理」1品を加えて、4部門計7品で試してみた結果、最も美味しかったのは韓国料理部門の「カルビ&ロース焼肉定食」でした。ラズウェルさんは、その味について次のように話しています。
「やっぱり焼肉のパワーといいますか、肉がタレをまとって焼けた感じのままが、非常にご飯と合うというか、ライスペーパーに合うんですね。白いご飯に、単に焼肉をのせて食べるのも美味しいですが、きっちりライスペーパーで巻かれた中から焼肉が出てくることがなんともマジカルな感じがして、美味しかったです」
「それから具材に、キムチとかナムル系のものがいっぱい入っていて、韓国料理は、(ビビンバなど)いっぱい混ぜて、ごった煮で食べる文化なので、生春巻は肉、キムチ、ナムルを一緒に混ぜた美味しさを全部一口で食べる、まさに混ぜるという韓国料理の文化に適しています。特に秀逸でした。今回の7品目の中で、断トツのうまさです。」
ラズウェルさんの至福の表情
今回の4品は、「カルビ&ロース焼肉定食」のほかに、「回鍋肉定食」「ラーメンライス」「冷やし中華ライス」でした。中華部門が3品と、試した料理数が最も多かった(洋食部門は2品、和食部門は1品)理由は、「なんとなくなんですけど、やってみたい候補がいっぱいあったんですね。やっぱりバリエーションとして麺類もやってみたいなと」。
中華の3品も、ラズウェルさんは、大満足だったようです。漫画の終わりには、4部門計7定食の食べた感想をまとめた表が掲載されています。各料理評に加え、グランプリに輝く「カルビ&ロース焼肉定食」を食べた時の美味しさは、どんなものだったのか。漫画の中で描写されたラズウェルさんの至福の表情を、吹き出しの中のセリフとともにぜひ、ご確認ください。
「和・洋・中ともよく合うおかずが、いっぱいある」
2回にわたった「生春巻」企画で分かったことは、どんなジャンルの料理にも合う「ご飯」の包容力。今回の漫画が掲載された『おとなの週末』2021年9月号の欄外では、農林水産省のホームページを引用し、「日本型食生活」に触れています。
実際に、農水省のHPをみると、「ごはん中心の食事のいいところは、和・洋・中ともよく合うおかずが、いっぱいあるということです」との記述を見つけました。まさに、今回の企画を通じて再確認したご飯の魅力が、書かれています。
ラズウェル細木
1956年生まれ、山形県米沢市出身。漫画で呑兵衛達の心をくすぐり続けて15年超。旨い食と酒を求めて庶民目線で描いた作品が人気を博している。代表作に『酒のほそ道』(日本文芸社)、『う』(講談社)、『大江戸酒道楽』(リイド社)、『ときめきジャズタイム』(ジャズ批評社)などがある。2012年、手塚治虫文化賞短編賞を受賞。2010年、米沢市観光大使に就任。月刊誌『おとなの週末』(講談社ビーシー/講談社)で2010年から連載していた「口福三昧」は2022年8月号で終了し、9月号からは“卵特化型漫画”としてラズウェルさんの新作「作る!食べる!たまGo!!」が始まっています。