1週間に2種類! 驚異のペースで春巻きを創作
『はるまきバトン』。店名に、まずはニンマリだ。春巻とバトン!
「店の名前はすぐに決まりました(笑)。単純に形が似ているということもありますが、『思いがつながっていくように』と名付けました」。
店主の平野順弘(まさひろ)さんは語る。
2021年6月1日、オープン。創業から1年間に生み出した創作春巻きは、なんと100種類! 100本ノックならぬ、100本バトン。
ざっと計算すると、1週間に2種類というハイペースである。
「オープン当時は、季節ごとに新種を1、2品くらい作ろうと思っていたんです。ただ、週3日くらい来てくださるお客さまがいまして、いつも同じメニューでは悪いなと。その方に、がんばって新作を出しているうち次第にエスカレートしてました(笑)」。
まずはともかく、ラインナップの一部をどうぞ。
広島風お好み焼き春巻き、男爵芋とゴルゴンゾーラ春巻き、牛すき焼き春巻き、レンコンつくねの蒸し春巻き、タコス風生春巻き、本鮪の赤身と漬けクリームチーズ、横浜家系ラーメン春巻き、里芋タラモの春巻き、軟骨つくね春巻き、トリッパ春巻き、イワシつみれ春巻き、冷やし中華風生春巻き、鴨ローストイチジク……。
もはやジャンルはない。国境もない。そして、スイーツ系あり、お好み焼きやラーメン、リゾットなど炭水化物も巻いてしまう自由さだ。
「そうなんです、春巻きは自由なんです! 中華のイメージが強いと思いますが、中に入る具によってどんなジャンルの料理にもなり得ますよね」。
平野さんは中華料理出身ではない。もともとは、創作系の居酒屋などで勤務していた。独立を考えているうちに、世界はコロナ禍にみまわれる。
飲食業界が苦境を迎えるなか、「テイクアウトと店内の飲食を兼ねた業態にしよう」と考えた。餃子はテイクアウトしやすいが、ライバルが多すぎる。次に小籠包や焼売を考えたが、春巻きに軍配があがった。「包む具の量が多い分だけ料理性が出せる」からだ。
春巻きの皮は数十種類を試し、現在使っているあるメーカーのものにたどりついた。油の切れがとにかくよく、「揚げ上がった瞬間に油が切れている」と平野さん。独自の製法で作られた春巻きの皮は見事に均一の厚さ、揚げるとごく軽い食感に仕上がるという。