奥深くマニアックな、ジビエの世界へようこそ。
京都市街にジビエを扱う人気店はいくつかあるが、その中でも竹内和歌子さんの営む『地球の幸せを夢みるバク』は、あらゆる鳥獣肉を扱うマニアックさが特長。
「どんな国の人でも食べている間は幸せ。嫌なことはバクに食べてもらい幸せになろう」というメッセージが込められた店名。サイドメニューはほとんどおかず、数種類の野菜を付け合わせにした肉料理のみが黒板メニューに並ぶ徹底ぶりだ。シカやイノシシだけでなくクマやキジ、カンガルー。トドやヌートリア(!)など国内産に限らず輸入ジビエも扱う。
「イノシシは煮込みが絶対においしいです」と竹内さん。京都丹波で獲れたイノシシの頬肉を自家製のデミグラスソースでじっくり煮込み、オーブンで焼く。頬肉はゼラチン質がとろけ、肉はホロホロと。秋冬にも人気のメニューだという。
通年で人気があるのは、北海道のエゾシカを使ったロースト。その名も〈叫ぶほどおいしいエゾシカのロースト ブルーチーズソース仕上げ〉。シンタマ(モモの一部)の味わいとブルーチーズのクセがぶつかり馴染む、クセになるおいしさ。
さらに夏のおすすめを聞くと「カンガルーはキレイな味がする肉ですよ」と竹内さん。なるほど「くさみをなくした牛の赤身レア」といった趣である。
肉のアクセントに散らされたセリの花やフェンネルのつぼみといったハーブ類も香りの強い野生のものを仕入れる。さすがジビエマニアと思わせる憎いこだわり。
地下鉄「今出川駅」からほど近い上立売通。シカの角がノブになったドアを開ければ、そこはジビエの迷宮。多彩な野生肉に惑わされる夜……。
高タンパクで低カロリーのヘリシー食材であると同時に、有害鳥獣をジビエとしていただくことで農作物への被害防止や自然環境と生態系のバランスを守ることに寄与するといったサステナブルな活動にもなる。
まあ、意識を高くすることまでもなく、“命をムダなく、おいしくいただく”という気持ちでジビエをもっと身近に楽しんでみてはいかがだろう。
一網打尽
[住所]京都府南丹市美山町盛郷佐野前15
[受付時間]9:00~18:00
http://ichimoudajin.com/
ゆるり
[住所]京都府南丹市美山町盛郷佐野前15
[電話]0771-76-0741
[営業時間]12:00~14:00、18:00〜(ディナーは一組限定、電話にて要予約)
[定休日]なし
地球の幸せを夢みるバク
[住所]京都府京都市上京区上立売東町29
[電話]050-7117-4301
[営業時間]18:00〜23:00(LO22:00)※完全予約制
[定休日]不定休
[アクセス]地下鉄烏丸線「今出川駅」 徒歩約3分
編集/エディトリアルストア
取材・執筆/成田孝男、渡辺美帆
写真/児玉晴希
※情報は令和4年8月5日現在のものです。