明治〜昭和にかけて活躍した文豪が愛したお店をご紹介します。日本人に長く親しまれてきたうなぎだからこそ発見できた美味をぜひ。今回は、東京・渋谷の『花菱』です。
志賀直哉、遠藤周作も芳醇な香りに魅せられた
かの文豪もその昔、この艶姿に垂涎のまなざしを注いだのだろうか。燦然と輝く均一の焼き色、芳醇な香りの甘い誘惑。『花菱』のうなぎである。
とりわけ店を贔屓にした斎藤茂吉は歌にまで詠んでいる。よく注文したのは小さめのサイズだったそうで、「うなぎを食べたら原稿が進むという内容を日記にも書いていらっしゃったとか。
今もお孫さんが来てくださいま」とは3代目。ふらりと訪れた遠藤周作や、出前を利用した志賀直哉も愛したその味は……今も食通を唸らせる。
うな重は80g~320gまで素材の目方違いで6種を揃えるほか、静岡の高級ブランド「共水うなぎ」も用意。戦時中は疎開先に持って逃げたほど大切に受け継ぐタレはたまり醤油を使う奥深い味だ。誰にも等しく、そこにあり続ける美味に感謝。食べれば私も原稿はかどるかな。
住所:東京都渋谷区道玄坂2-16-7 花菱ビル1階・地下1階
電話:03-3461-2622、0120-262-203
営業時間:11時半~15時(14時LO)、17時~22時(21時LO)
定休日:日・祝
交通:JR山手線ほか渋谷駅ハチ公口などから徒歩8分
撮影/大西尚明、取材/肥田木奈々
※2022年8月号発売時点の情報です。
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