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若い世代が焼酎の未来を切り開く

かつて鹿児島では、各家庭で焼酎を造っていた時代があったという。やがて集落の中に専業で焼酎を造る酒蔵が生まれた。集落の中に佇む中村酒造場は、その歴史を物語る。

創業は1888年、当時の面影を残す赤レンガの建物が印象的だ。「子供の頃は隣に実家があったので、ちょろちょろしながら焼酎造りを手伝っていましたね」というのは6代目・中村慎弥さん。農大醸造学科を卒業後、山形の日本酒蔵で働いたこともある。

地元へ帰り杜氏を引き継ぐと、「Amazing」という焼酎を造り、一躍話題に。有名アーティストを起用したラベルで従来の芋焼酎と全く違うスタイルを強調したこの焼酎は、味わいも独特の個性が光る。その発端は「ランビックのような焼酎を造れないか」と考えたことだった。

なかむら、STILL LIFE、Tear Drop

左から代表銘柄の「なかむら」。地元農家が作るさつま芋と蔵仕込みの米麹を使用する。2021年に初リリースされた限定の「Amazing」シリーズ。「STILL LIFE」(中)はグレープフルーツやライムの香り。パンケーキやヨーグルトの風味がある「Tear Drop」(右)

ランビックは、自然発酵させたベルギーの伝統製法ビール。そこで中村さんは蔵に生息する麹菌を使った麹造り、酵母無添加に挑戦する。酵母を添加せず自然に発酵を促す方法は気温の高い鹿児島では難しいとされる冒険であり、完成には5年を要したという。

一見とても斬新に思える「Amazing」だが、その背景にはなかむら酒造場が培ってきた伝統が詰まっている。中村酒造場の主力商品は「なかむら」という芋焼酎。しっかりとした造りで高く評価されている。

「父や祖父が大切にしてきたものを否定するのではなく、その延長線上で新しい世界を切り開きたい」と中村さん。「Amazing」も伝統のルールを踏み外さないよう、とても慎重に対処しているのだ。

夜、地元の食材にこだわる『手しごと屋 潤』で飲みながら中村さんは語る。「鹿児島の食材で焼酎を味わってもらえる店が地元にあるから、伝えられることもある。いつも可能な限り、ここへお連れしているんですよ」

焼酎の世界が変わって来た理由を尋ねると「私も含めて若い世代に代替わりしたことも大きいですね」という。先祖が脈々と繋げてきた伝統をもう一度新鮮な目で見つめ直すこと。その結果が焼酎の新時代を呼び込んでいるのかもしれない。

『中村酒造場』 @国分

『中村酒造場』赤レンガの蔵が風景に映える

『中村酒造場』 の情報

[住所]鹿児島県霧島市国分湊915
[電話]0995-45-0214
※一般の見学は不可
https://nakamurashuzoujo.com/

『手しごと屋 潤』 @国分

『手しごと屋 潤』

『手しごと屋 潤』の情報

[住所]鹿児島県霧島市国分中央3-36-15
[電話]0995-55-6116
[営業時間]18時~23時(22時LO)
[休日]日・祝
[交通]JR日豊本線国分駅から徒歩8分

撮影/村川荘兵衛、取材/岡本ジュン

※2022年8月号発売時点の情報です。

※全国での新型コロナウイルスの感染拡大等により、営業時間やメニュー等に変更が生じる可能性があるため、訪問の際は、事前に各お店に最新情報をご確認くださいますようお願いいたします。また、各自治体の情報をご参照の上、充分な感染症対策を実施し、適切なご利用をお願いいたします。

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

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おとなの週末Web編集部
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