黄金伝説の由来とは?
「ところで、親方、不老不死の方はなんとなくわかりやしたが、黄金伝説の方はどうなんですか?」
「そっちの方だけど、昔、深浦は上方と蝦夷地を結ぶ海上輸送の要所で、海賊にとっては誠においしい地域だったわけよ」
「海賊ですか」
「うん」
「そんな海賊頭のひとりで黄金崎銭衛門って人が、北前船を襲ったりして蓄財した膨大な宝を深浦のどこかに隠したと言う伝説があるのよ」
「黄金崎銭衛門? こりゃまた下手な名前ざんすねー」
「まぁ聞きなさいって。実際隠し場所は『朝日さす 夕日かがやく岡の上に 漆百樽 黄金萬両』って言われてるらしいんだよ」
「そんなの、眉唾じゃないんでやんすか!」
「それがそうでもなくて。大正時代の新聞に地元の人が馬を放しておいたら、後に帰ってきた馬の足に漆がいっぱいついてきたという記事が載って大騒ぎになったことがあるんだって」
「ほほ~っ、馬がお宝の目録にある漆の樽を踏み抜いたってことでげすか? 漆があるなら黄金だってありますわな~」
「それはまぁ、とにかく、古の伝説が渦巻く温泉なのさぁ」
「ロマンでやんすな~」
「不老不死の薬に黄金伝説とは、ダブルで素晴らしい温泉でやんすね」
「適当だな~………….」
「親方、概要は大体わかりましたから、拙はそろそろ失礼して安眠させていただきやすよ」
「きたよ、きたよ、全く期待してなかったけど、少しは運転を援護しろよ」
「へいへい、お休みなさい」
「こいつ、いつか亡き者にしてくれる」俺はぼそっと呟いた
(長時間運転だったから、安全のため60分に一度は休憩入れるよう心がけた。笑)。