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ついに入浴! 海賊の残した黄金の宝の意味が!!

「風ちゃん、白神山地を越えてそろそろ着くよ。もうよい時間だよ」

「うあぁっ、こんな時間に!!」(腕時計を見て風ちゃん、車内で絶叫の図)。

「しまった『朝日さす 夕日かがやく岡の上に 漆百樽 黄金萬両』でやんした!」

「本当に探す気でいたのかい?(笑笑)」

「…………………残念」

「親方、もっと早くに起こしてつかぁさい」

「運転してた俺に言うの?」

「謝りたくないけど………………すみません」

「わかれば、よろしい」

不老ふ死温泉
不老ふ死温泉

今回はさすがに日帰りは無理なので「不老ふ死温泉」に一泊することにしたが、宿自体は日帰り温泉も営業している(日帰りの時間帯はお宿に確認してね)。

眼前に見えるは、不老ふ死温泉
眼前に見えるは、不老ふ死温泉

快適な洋室にチェックインした俺は、長い道中で消耗した体力を回復させるために、夕暮れの時間までベッドで仮眠することにした。

「風ちゃん、俺少し仮眠するよ。先にお風呂に入ってくれば?」

「拙も寝ていて、かえって疲れたでやんす。親方につきあって仮眠をしますよ。付き合いが良いでやんしょ」

風ちゃんはそう言ったが最後、さっきまで寝てたくせに、またしても布団のなかで、スヤスヤと寝息を立てている。まさしく乾坤一擲の馬鹿なのか、はたまた天然なのか? 予断を許さない人格に俺は慄いた。

そろそろ夕暮れの時間というところでアラームが鳴り、俺は起き始めた。そして窓から空の天気を確認したのだ。日頃の行いが良いのか本日は快晴だ。天気さえ良ければ余裕綽々である。

「風ちゃん、お宝発見の時間だよ。そろそろ起きなよ」

「えっ! なんですって~」風ちゃんは、「むにゃむにゃ」言いながら起きてきた。

「まあ手拭い持って、俺についてきなよ」

「……へい、へい」半信半疑の風ちゃんが手拭いを用意するのを待って、俺は部屋を出た。

そして波打ち際の岩場に隣接した露天風呂に向かった
(こちらの露天風呂は混浴、女性専用がある。混浴では女性は湯浴み着の着用が認められている。シャワーは無いので内湯で身体を洗ってから入るのが好ましい。また、宿泊した部屋は1階だったが、施設自体は斜面に立っているので露天風呂に行くにはエレベーターで下る形になる)。

露天風呂に到着すると更衣所で素早くスッポンポンになり、もうすでに幾人かが入浴している瓢箪型の湯船に素早くドボチョンと入った。

これが不老ふ死温泉だ!
これが不老ふ死温泉だ!

するとどうだろう、ジャストタイミング~。今まさに夕日が日本海に沈もうとしている

お風呂からの景色ではないが、これが夕景!
お風呂からの景色ではないが、これが夕景!

湯船に入っている全員が日本海に沈む夕日に見入ってる。そして夕日が日本海の水平線に消える直前、風ちゃんがポツリと言った。

親方、空一面、黄金色でございますなぁ……! 赤褐色のお湯も日本海の水面も夕陽を反射して、拙の視界すべてが黄金色に変わりました。はっん! 親方、本当に命が洗われるとはこのことででやんすなぁ。これこそが海賊の残した黄金の宝なんでやんすね!

「風ちゃん、冴えてるね!!」

その時、風ちゃんに黄金崎銭衛門が乗り移ったように語り始めた。

「さぁみなさま、今まさに黄金崎の地に、風景を黄金色に覆い尽くす時間帯がやってきました。海岸、海面と温泉が拙の前で黄金の三位一体になるとき。

赤褐色の野趣溢れる天然温泉の露天風呂に入れば、この眼前に広がる絶景が不老不死の霊薬になるのでございます!」

風ちゃんは顔を夕日に染めながら、「かっかっかっかっ」と高らかに笑いきったのだった。

※夕暮れ時になると景色全部が黄金色に染まることにから名づけられたのが黄金崎(こがねざき)の地名の由来

■不老ふ死温泉
[住所]青森県西津軽郡深浦町大字舮作字下清滝15
[電話番号]0173-74-3500(株式会社 黄金崎不老ふ死温泉)
http://www.furofushi.com/

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鵜澤 昭彦
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