牛肉のステーキはなぜレアでもOK?
牛肉の腸内にもカンピロバクター菌がいるのに牛肉のステーキはレアでもOKなのかと疑問に思う人が多いと思います。これは牛肉の食肉部分の汚染率がきわめて低いと考えられているからです。
ただし、表面に関しては処理過程で汚染されている可能性があるため、ユッケのような完全な生食に関しては法規制が設けられています。いっぽうのステーキは表面がしっかり焼かれているので、レアでも食べることができるのです。
これは、2011年に腸管出血性大腸菌O157に汚染されたユッケを食べたことが原因の食中毒事件が広域に発生したことが発端です。同年10月1日からは「牛肉の塊(ブロック肉)の表面から1cm以上の深さまでを60℃で2分間以上加熱殺菌をして表面を切り取るといった加工・調理する。さらに、腸内細菌科菌群(腸管出血性大腸菌、サルモネラなど)が陰性である」という厳しい基準を満たさなければ生食用牛肉を提供することはできなくなりました。
そのため、飲食店がユッケを提供するためには、厳重な衛生管理体制を整え、さらに保健所から「認定生食用食肉取扱者等設置施設」の認定を受ける必要があります。
ちなみに、牛レバーに関しては2012年に生食用として販売・提供することが全面禁止されています。
豚肉の生食はさらに危険!?
豚肉の生食に関してはカンピロバクター菌による食中毒はもちろんのこと、E型肝炎ウイルスに感染するリスクもあります。これに関しては、どんなに清潔な場所で処理された肉でも安全性は担保されません。
つまり、豚肉はどんな状況であっても絶対に生食をしてはいけない肉なのです。もちろん、生焼けも絶対にNGです。豚肉をレアの状態で食べるのは先ほどのササミの生焼け以上に危険です。
平成27年(2015年)6月12日からは、豚肉を生食用として販売・提供することが禁止されています。
実は、鹿やイノシシなどの野生動物の肉からもE型肝炎ウイルスが高率で検出されるため、ジビエなども生食は避けましょう。
牛肉でもハンバーグのレアは要注意!
牛肉であってもひき肉料理の生焼けは要注意です。ひき肉には汚染された表面部分が混入している恐れがあるためです。さらに危険なのは、豚肉を使用した合いびき肉を使用している場合です。いずれにせよ、たとえ牛肉100%でもハンバーグはレアではなくしっかり火を通ったものを食べるようにしましょう。
日本では、「生食はしない」ことを前提に食肉に関する法律が作られていました。しかし、想定外の生食文化が根付いてしまい、食中毒で犠牲になる人が出るなどの問題が明らかとなってきたことから、対症療法的に法律に手を加えている状況が続いています。そのため、法律で規制されていないから安全とは言い切れないのです。
ここまで読んでいただくと鶏肉を食べるのが怖いと思う人もいるかもしれません。しかし、しっかり火を通して食べればまったく問題はありません。むしろ、鶏肉は高タンパク・低脂質の理想のタンパク源なので、どんどん食べてほしい食材です。正しい知識をもって食べれば恐れる必要はないのです。