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フォーク・ロック的なサウンドへ路線転換

オフコースが地方回りをしていた1970年代中期の日本の音楽シーンではニューミュージックが台頭していた。従来の歌謡曲、演歌などに対して、新しい音楽なのでニューミュージックと呼ばれた。カルメン・マキ&OZのようなロック・サウンドもニューミュージックだったが少数派で、人気の中心はフォーク・ソングをベースにして日本風に発展させた音楽だった。

南こうせつ率いるかぐや姫が1973年9月に発表したシングル「神田川」は爆発的なヒットとなり、抒情派フォークと呼ばれた。しかし、小田和正が建築への道を断念した1975年末には、そのブームも大分去っていた。

それを見越したのだろうか。小田和正は大間ジロー、清水仁、松尾一彦など新たなメンバーをオフコースに招き、脱抒情派フォークを目指し、フォーク・ロック的なサウンドへと路線転換を計る。デビューから7年が過ぎていた。

デビューから10年目、1979年12月に発表した「さよなら」がついに大ヒットとなる。当時の日本では音楽番組が現在と異なり人気があった。「さよなら」がヒットしているオフコースにも出演依頼が殺到した。

しかし、オフコースはそれらをことごとく断っている。ライヴとレコード制作に尽力するというのがオフコースの方針だった。無名時代、テレビに見向きもされず、ひたすらライヴを重ねることで人気となったオフコースには、テレビというメディアの力を借りなくても売れる自信があったのだ。

5人体制となった“バンド”のオフコースはヒットを連発するようになったが、そのことに違和感を覚えたのが無名時代を支えた盟友鈴木康博だった。

オフコース、小田和正のアルバムの数々

岩田由記夫
1950年、東京生まれ。音楽評論家、オーディオライター、プロデューサー。70年代半ばから講談社の雑誌などで活躍。長く、オーディオ・音楽誌を中心に執筆活動を続け、取材した国内外のアーティストは2000人以上。マドンナ、スティング、キース・リチャーズ、リンゴ・スター、ロバート・プラント、大滝詠一、忌野清志郎、桑田佳祐、山下達郎、竹内まりや、細野晴臣……と、音楽史に名を刻む多くのレジェンドたちと会ってきた。FMラジオの構成や選曲も手掛け、パーソナリティーも担当。プロデューサーとして携わったレコードやCDも数多い。著書に『ぼくが出会った素晴らしきミュージシャンたち』など。 電子書籍『ROCK絶対名曲秘話』を刊行中。東京・大岡山のライブハウス「Goodstock Tokyo(グッドストックトーキョー)」で、貴重なアナログ・レコードをLINN(リン)の約400万円のプレーヤーなどハイエンドのオーディオシステムで聴く『レコードの達人』を偶数月に開催中。最新刊は『岩田由記夫のRock & Pop オーディオ入門 音楽とオーディオの新発見(ONTOMO MOOK)』(音楽之友社・1980円)。

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