『一汁三菜』 @南青山
ひと口ごとに深く染み渡る これぞ真の豊かさ
飯と汁物、主菜と副菜二品で一汁三菜。和食の基本献立であると同時に、贅沢せずともこれで十分、的な表現で使われることが多い気がするこの言葉。いや、本気で作ってあるとこれ、たいそう贅沢でしょ。それをしみじみ実感するのがこの店だ。
鮭粕漬け定食 1520円(夜は+300円)
こちらは昼夜共に、主菜を焼魚とする定食屋。千葉と静岡の歴史ある魚屋から仕入れるという魚は、一夜干しや醤油干し、粕・味噌漬けと、どれもがそれぞれ最も美味であろうひと手間をかけている。じっくり焼かれた身の旨さはこの上ないが、皮なぞ、ツマミ用に別注したいほどだ。
そして副菜と呼ぶには申し訳ないくらい丁寧に作られた日替わりの小鉢とおひたしに、自家製ぬか漬けと、味噌汁のダシを取った後の昆布で作った佃煮。これにとびきりのご飯と味噌汁が付く。完璧である。この行儀よく配膳されたお膳の、なんとも美しいこと。気がつけば、椅子の上でも正座している自分がいる(心の中で)。箸を置いた後のえもいわれぬ充足感は、最上の口福。
[住所]東京都港区南青山7-12-13
[電話]03-5467-9187
[営業時間]12時~14時LO、18時〜20時半LO
[休日]土・日・祝
[交通]地下鉄日比谷線広尾駅3番出口から徒歩10分
『Kitchen QH』 @白金高輪
毎日でも通いたい 野菜豊富なおばんざいの体を思いやるゴハン
「毎日来てくれる方もいますし、うちのご飯を食べて体が楽になったと言われることもあるんですよ」と言うのは、割烹着がキュートな店主の吉井南美さん。南美ちゃんの愛称で親しまれる彼女は、ちょっと異色の経歴を持っている。実はニューヨークでバーテンダーをしていたこともあるとか。
帰国してポップアップでおばんざいを作ったところ、それが評判となって間借り営業で店をスタートさせたのだ。京都出身の彼女が作るおばんざいは、野菜中心で体に染み入るやさしい味。それがズラリ9種類も並ぶ定食は圧巻だ。
本日のおばんざいランチ 1200円
おばんざいはオーソドックスなものから、キャベツのアンチョビレモンバターソテーとか、りんごとビーツのクミンサラダなど、目を引くメニューも絶妙に加えられている。肉か魚の主菜が付いて、ボリューも申し分なし。しかも実家の母が作ってくれるという野菜や無農薬玄米などを使うのでとても健康的。これぞまさに理想の定食といえる。毎日通えるご近所さんが本当にうらやましい。
[住所]東京都港区高輪1-1-3
[電話]03-6450-2312
[営業時間]11時半~17時半LO、水~20時
[休日]日、月
[交通]地下鉄南北線ほか白金高輪駅2番出口から徒歩6分
撮影/西崎進也(ふ定食屋)、大西尚明(青山 おとと)、貝塚隆(一汁三菜、Kitchen QH)、取材/岡本ジュン(ふ定食屋、青山 おとと、Kitchen QH)、編集部(一汁三菜)
※2023年2月号発売時点の情報です。
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