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山を越え、海を渡ってたどりついたのは地獄⁈ パワフルな地獄を満喫

早めに出発すれば九州を横断するバスで向かうルートもあるが、時間いっぱいまで滞在したいので移動はタクシーを貸切ることに。ドライブコースとして人気の高いやまなみハイウェイやラピュタの道とも呼ばれる阿蘇ミルクロードを通り、JR熊本駅へと向かう。

タクシー移動なんて、セレブじゃないんだから、と否定的だったが、実際、利用してみると、途中の絶景スポットや道の駅に立ち寄ってくれるし、運転もおまかせだから、ちょっと飲んだり、眠ったりも、気がねなく、快適。移動を兼ねたプライベートツアーになるので、かえってコスパがいいのでは? 横断旅のどこかかにタクシー移動を組み込むと体力も温存にもなりそうだ。まるで別の星に降り立ったかのようなカルデラを眺めながら、風船をつかった昨日の実験を思い出し、その壮大さに改めて驚いた。


熊本駅でお土産を買い込んでバスで熊本港へ。ここからは海の旅だ。フェリーでお弁当を味わいながら島原港までの船の旅に心が躍る。そこからすぐの黄色い電車、島原鉄道で海に最も近い駅といわれる大三東駅を目指す。ここは幸せの黄色いハンカチがはためくことでも知られる絶景駅。ここからは車で雲仙温泉へ。

2022年の年末に開業したばかりの界 雲仙。コンセプトは「地獄パワーにあふれる、異国情緒の宿」。敷地の裏も隣も地獄、なんと全室地獄ビューという徹底ぶりだ。和(日本)華(中国)蘭(オランダ)の要素が混ざり合った長崎文化を表現したデザインもみどころのひとつ。

51室の客室全てがご当地部屋「和華蘭の間」で、オランダから伝わったステンドグラスをモチーフにしたパーテーションやビードロの照明、長崎の波佐見焼や古賀人形などでデコレートされている。ユニークなのはおそらく世界で初であろう「客室付き露天風呂」。滞在スペースの半分以上を露天風呂と湯上り処で占め、プライベートな温泉にベッドがついているイメージ。これは斬新! 滞在中、いつでもすきなときに湯浴みができるのだ。


大浴場もフォトジェニック! カラフルなステンドグラスで露天風呂と内湯が仕切られ、昼は自然光が入り、色鮮やかな光が湯面に映り込む。夜は内から光が漏れ、露天風呂から眺めると大きなランプのように輝く。もちろんここも地獄ビュー。硫黄の香る湯けむりに包まれながら、心を開放しよう。

夕食で出る先付もユニークだ。鬼退治に見立てて、豚角煮のリエットの上に乗った鬼やらい湯せんぺいを小槌で打ち砕く。このほのかに甘いおせんべいとリエットがカクテルにあう!

長崎ならではの卓袱料理をイメージした宝楽盛りには、錦けんちんや蕗味噌松風、いぎりすなどの和華蘭から着想を得た異国情緒あるメニューや器が並び華やかだ。

あご出汁しゃぶしゃぶも雲仙ならでは。デザートは島原名物の白玉のシロップ漬け、琵琶のかんざらしで爽やかに。朝ごはんでは穴子入りの長崎風お雑煮を味わえる。


ご当地楽は活版印刷体験。天正遣欧少年使節によりヨーロッパから島原半島に運び込まれたという印刷技術を、カードづくりを通して実際に体験してみる。このアトリエもフォトジェニックで、記念撮影にはぴったりだ。

そしてぜひとも参加してほしいのが、「雲仙地獄パワーウォーク」だ。これは毎朝、先着7名で参加費無料のアクティビティ。修験者のような衣装に着替え、杖を持ち、大地のエネルギーを感じながら地下足袋で地獄めぐりをする。深い呼吸を意識し、身体を大きく使い、ウォーキング。日本初のユネスコ世界ジオパークに認定された雲仙地獄をガイドしてもらいつつ、要所要所で体幹トレーニングやストレッチのミッションが。

早朝なのでまだ観光客も見当たらず、地獄全体を貸し切ったような爽快感。最後は旧八万地獄の広場で、地熱を感じながら寝っ転がってストレッチ。これが心地いい! この地熱は界 雲仙でも給湯や空調などに活用されているという。

界 雲仙は温泉街の中心地にあり、ちょうど昔ながらの古湯と西洋文化の影響を受けた新湯の境目に位置する。散策を楽しみ、新旧両方の公営温泉を巡ってみるのもおすすめだ。また山を下りた海沿いにある塩湯の小浜温泉など、島原半島には異なる泉質の温泉があるので、このエリアだけでも入るべき温泉が満載なのだ。


最後は長崎の街に立ち寄り、名物ちゃんぽんを食べてから帰京。東の大分から西の長崎へ。九州の大自然、様々な文化をぎゅぎゅぎゅっと濃縮したかのような、密度の濃い横断旅だった。

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おとなの週末Web編集部
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