春の九州温泉旅(中)“幸せの黄色いハンカチ”駅から雲仙温泉へ 湯煙に包まれ心を開放

火山活動な阿蘇では火山が織りなす鍋のように独特な地形、カルデラの淵にあるのが界 阿蘇。阿蘇くじゅう国立公園内にあり、8000坪の敷地に12室のみという贅沢な山岳リゾートだ。 阿蘇のカルデラに囲まれたリゾートで、大地の息吹…

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火山活動な阿蘇では火山が織りなす鍋のように独特な地形、カルデラの淵にあるのが界 阿蘇。阿蘇くじゅう国立公園内にあり、8000坪の敷地に12室のみという贅沢な山岳リゾートだ。

阿蘇のカルデラに囲まれたリゾートで、大地の息吹に癒され、こもる贅沢!

コンセプトは「カルデラが育んだ別天地の大自然を堪能する宿」。全室露天風呂付きの離れは、まるで別荘のようでほっとでき、こもるのには最適。森にせり出したような開放的な露天風呂は春になると新緑に包まれてさらに爽やかに。標高1050mで冬は九州でも雪が積もり、夏は涼しい避暑地となる。阿蘇五岳を背景にカルデラ体操で目覚めれば気分もすっきり。カルデラパワーで、身も心もデトックスできそうだ。

 その土地の魅力を探るご当地楽は、阿蘇にちなんだカクテルを味わいながらカルデラの仕組みを学ぶ「カルデラBAR」。箱庭に小山をつくり、風船をマグマに見立てて爆発させる実験が秀逸で、なるほど! こうやって生まれた地形なのか! と腑に落ちる。

また木工アクティビティ、撫で杉づくりも癒される(参加費3500円)。阿蘇の裾野で育つ小国杉を磨き、自分だけの撫で杉に仕上げるというもの。ツボ押しマッサージとしても、アロマディフューザーとしても活用できる撫ぜ杉は、自分で形を整えると愛着が増し、ずっと触っていたくなる。無心に磨く時間も楽しく、これ、おこもり滞在にはぴったり。

夕食は旬の農作物や馬肉や赤牛を堪能。先付は山うに豆腐のムースと赤牛味噌漬け。八寸とお造り、酢の物を盛り付けた宝楽盛りをつまみにお酒も進む。

そしてご当地鍋は数種の味噌をジャージー牛乳に溶かして味わうねたくり鍋。和牛サーロインとカチョカヴァロチーズとの相性が絶妙で濃厚。土鍋ごはんに汁をかけてリゾットのようにいただく締めも絶品だ。デザートは暖炉を囲んだラウンジでゆったりと。朝食は土鍋ご飯を主役に、ごはんのお供となるような小皿が並ぶ彩り豊かな構成。パリッとした南関揚げを乗せていただく甘い麦味噌のお椀のおいしさも新しい発見だった。温泉卵をのせたご飯にあおさの風味が豊かな醤油をかけた卵かけご飯も忘れられない。よし、次なる目的地は長崎県の雲仙だ。

山を越え、海を渡ってたどりついたのは地獄⁈ パワフルな地獄を満喫

早めに出発すれば九州を横断するバスで向かうルートもあるが、時間いっぱいまで滞在したいので移動はタクシーを貸切ることに。ドライブコースとして人気の高いやまなみハイウェイやラピュタの道とも呼ばれる阿蘇ミルクロードを通り、JR熊本駅へと向かう。

タクシー移動なんて、セレブじゃないんだから、と否定的だったが、実際、利用してみると、途中の絶景スポットや道の駅に立ち寄ってくれるし、運転もおまかせだから、ちょっと飲んだり、眠ったりも、気がねなく、快適。移動を兼ねたプライベートツアーになるので、かえってコスパがいいのでは? 横断旅のどこかかにタクシー移動を組み込むと体力も温存にもなりそうだ。まるで別の星に降り立ったかのようなカルデラを眺めながら、風船をつかった昨日の実験を思い出し、その壮大さに改めて驚いた。


熊本駅でお土産を買い込んでバスで熊本港へ。ここからは海の旅だ。フェリーでお弁当を味わいながら島原港までの船の旅に心が躍る。そこからすぐの黄色い電車、島原鉄道で海に最も近い駅といわれる大三東駅を目指す。ここは幸せの黄色いハンカチがはためくことでも知られる絶景駅。ここからは車で雲仙温泉へ。

2022年の年末に開業したばかりの界 雲仙。コンセプトは「地獄パワーにあふれる、異国情緒の宿」。敷地の裏も隣も地獄、なんと全室地獄ビューという徹底ぶりだ。和(日本)華(中国)蘭(オランダ)の要素が混ざり合った長崎文化を表現したデザインもみどころのひとつ。

51室の客室全てがご当地部屋「和華蘭の間」で、オランダから伝わったステンドグラスをモチーフにしたパーテーションやビードロの照明、長崎の波佐見焼や古賀人形などでデコレートされている。ユニークなのはおそらく世界で初であろう「客室付き露天風呂」。滞在スペースの半分以上を露天風呂と湯上り処で占め、プライベートな温泉にベッドがついているイメージ。これは斬新! 滞在中、いつでもすきなときに湯浴みができるのだ。


大浴場もフォトジェニック! カラフルなステンドグラスで露天風呂と内湯が仕切られ、昼は自然光が入り、色鮮やかな光が湯面に映り込む。夜は内から光が漏れ、露天風呂から眺めると大きなランプのように輝く。もちろんここも地獄ビュー。硫黄の香る湯けむりに包まれながら、心を開放しよう。

夕食で出る先付もユニークだ。鬼退治に見立てて、豚角煮のリエットの上に乗った鬼やらい湯せんぺいを小槌で打ち砕く。このほのかに甘いおせんべいとリエットがカクテルにあう!

長崎ならではの卓袱料理をイメージした宝楽盛りには、錦けんちんや蕗味噌松風、いぎりすなどの和華蘭から着想を得た異国情緒あるメニューや器が並び華やかだ。

あご出汁しゃぶしゃぶも雲仙ならでは。デザートは島原名物の白玉のシロップ漬け、琵琶のかんざらしで爽やかに。朝ごはんでは穴子入りの長崎風お雑煮を味わえる。


ご当地楽は活版印刷体験。天正遣欧少年使節によりヨーロッパから島原半島に運び込まれたという印刷技術を、カードづくりを通して実際に体験してみる。このアトリエもフォトジェニックで、記念撮影にはぴったりだ。

そしてぜひとも参加してほしいのが、「雲仙地獄パワーウォーク」だ。これは毎朝、先着7名で参加費無料のアクティビティ。修験者のような衣装に着替え、杖を持ち、大地のエネルギーを感じながら地下足袋で地獄めぐりをする。深い呼吸を意識し、身体を大きく使い、ウォーキング。日本初のユネスコ世界ジオパークに認定された雲仙地獄をガイドしてもらいつつ、要所要所で体幹トレーニングやストレッチのミッションが。

早朝なのでまだ観光客も見当たらず、地獄全体を貸し切ったような爽快感。最後は旧八万地獄の広場で、地熱を感じながら寝っ転がってストレッチ。これが心地いい! この地熱は界 雲仙でも給湯や空調などに活用されているという。

界 雲仙は温泉街の中心地にあり、ちょうど昔ながらの古湯と西洋文化の影響を受けた新湯の境目に位置する。散策を楽しみ、新旧両方の公営温泉を巡ってみるのもおすすめだ。また山を下りた海沿いにある塩湯の小浜温泉など、島原半島には異なる泉質の温泉があるので、このエリアだけでも入るべき温泉が満載なのだ。


最後は長崎の街に立ち寄り、名物ちゃんぽんを食べてから帰京。東の大分から西の長崎へ。九州の大自然、様々な文化をぎゅぎゅぎゅっと濃縮したかのような、密度の濃い横断旅だった。

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