旨すぎて口の中はまさにお祭り騒ぎ
まず、ラーメンから食べるのが私の作法。ラーメンは中華料理店らしく澄みきった鶏ガラスープ。麺の上にはメンマとネギ、そしてチャーシューではなくハムがのる。これも中華料理店でたまに遭遇する。そりゃチャーシューの方が気分もアガるけど、昨今の物価上昇による値上げでチャーシューにすると利益が出ないのかもしれない。赤字と黒字、ギリギリの攻防戦。その象徴がハムだとしたら、とても尊く感じる。
では、スープから飲んでみよう。おおーっ! しっかりと抽出された鶏の旨みが身体にじんわりと染みわたる。きっと、丁寧な仕事をしてらっしゃるんだろうな。中太麺もいかにも中華料理店らしい。ラーメンが多種多様に進化する中、この普通さが今となっては逆に新鮮に思える。ずっとこのままであってほしい。
次にラーメンのスープを飲んで、口の中に味の余韻が残った状態でロースチャーハンを食らう。うっ、旨い! 豚ロースの焼肉は、タレを使っているものの味は濃すぎず、チャーハンとよく合う。というか、口の中はラーメンスープの鶏の旨みに豚肉の旨みが加わって、ハッピ姿で「まつり」を熱唱する北島三郎がリオのカーニバルに乱入しているような感じとでも言おうか。まさにお祭り騒ぎ。とにかく旨すぎるのだ。こりゃたまらん!
いかん、ちょっと一度冷静になろう。お冷を飲んで口の中をリセットした上で再び食べてみたが、やっぱり旨い! では、次に豚ロース焼肉を除けて、チャーハンだけを食べてみる。豚の脂がチャーハンに染みていて、これもおいしいのよ。
やっぱり、ラーメンのスープを飲んだ後に思いっきり頬張るのがいちばん。もう、無限に食べられるほど旨い。ただ、のせ系チャーハンとラーメンの組み合わせの唯一のマイナス点は、これを食べてしまったらノーマルのチャーハンに戻れなくなってしまうことだ。
チャーラーの旅のルールに於いて、のせ系チャーハンはご法度か否か。いや、たまにはイイだろう。だって、おいしいもん(笑)。ゆるーく楽しむのがチャーラーの旅なのだ。
取材・撮影/永谷正樹