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『寿司政』の味を集約した逸品「ちらし」

玉子も伝統。白身や芝エビのすり身を入れて焼き上げ、鞍掛けにした握りはシャリと合わせることで引き立つ甘みが舌を歓喜させる。平目に少々の芝エビを加えて作るおぼろも然り。そしてシャキッと辛みのあるガリ。それら『寿司政』の味を集約した逸品が……「ちらし」である。

自慢のネタを散らした品格漂う美しさをじっくりと愛でてほしい。重箱の中にぎゅっと詰め込んだ160余年の伝統。赤酢のシャリに針海苔を敷き、ガリ、かんぴょう、おぼろ、小肌、マグロ、煮イカ、玉子など約20種にもなる具だくさんがうれしくて、ありがたくて。

ちらし 梅 3850円(昼)

『九段下 寿司政』ちらし 梅 3850円(昼) 伝統の味が集約したちらしは彩りも美しい。お土産も可

それぞれの魅力が重箱という舞台で華やかに共演する深い味わいに思わず喝采の声が漏れる。嗚呼。考えてみれば、老舗の味をいただくということは、店の歴史を一緒に味わうことでもあるのだろう。一つひとつのネタに、シャリに、連綿と受け継がれる仕事への誇りが、初代から続く商いへの想いが、宿っているように思う。

「これが私たちのやり方で寿司政の味。お客様の味覚は十人十色、感じ方はさまざまでいいと思っているんです。これからも流行りの味に流されず、ブレることなく、当たり前のことを当たり前に、日々同じ仕事をするだけです」当たり前を続けていくことが、いかに難しく、大変なことだということを十分に理解した上での言葉である。その地道な「軌跡」が、歴史を繋ぐ「奇跡」になるのだ。

『九段下 寿司政』

[住所]東京都千代田区九段南1-4-4
[電話]03-3261-0621
[営業時間]11時半~14時(13時半LO)、17時半~23時(22時LO)、土・日・祝の夜は17時~21時(20時LO)
[休日]無休(お正月とお盆は休)
[交通]地下鉄半蔵門線ほか九段下駅6番出口から徒歩1分

撮影/西崎進也、取材/肥田木奈々

※2023年5月号発売時点の情報です。

※全国での新型コロナウイルスの感染拡大等により、営業時間やメニュー等に変更が生じる可能性があるため、訪問の際は、事前に各お店に最新情報をご確認くださいますようお願いいたします。また、各自治体の情報をご参照の上、充分な感染症対策を実施し、適切なご利用をお願いいたします。

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

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おとなの週末Web編集部
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