オムライスにハンバーグ、ビーフシチュー。子供の頃、連れられて行ったお店でメニューを見ては心が躍った。お店の雰囲気と、そこで話す何気ない会話。すべてが尊い……。そんなあの頃を思い出させてくれる「ビーフシチュー」がおいしくいただける昭和創業の店をご紹介!
『グリルエフ』 @五反田
歴史をつむいで70年 継ぎ足しで作り続けるデミグラスのコクと深み
ツタの絡まるレンガ造りの建物の中へと入れば、純白のカバーをまとった椅子に年代物のランプが淡い光を放っていた。映画のセットさながらの風情は創業の昭和25年当時のままだとか。それは料理の味も同じで、ビーフシチューの肝となるデミグラスソースは今まで70年以上継ぎ足し続けたもの。
ビーフシチュー 2400円
どこまでも深いコクの後からやってくるほろ苦さ、香ばしさの中からブイヨンで半日コトコト煮込んだ牛のブリスケットの旨みが心地良く広がっていく。また、シャキッと炒めた玉ねぎと牛肉にこのソースをフライパンでさっと合わせたハヤシライスは、しっかり胃袋も満たしてくれるもうひとつの名物だ。
[住所]東京都品川区東五反田1-13-9
[電話]03-3441-2902
[営業時間]11時〜14時半(14時LO)、17時〜21時(20時15分LO)
[休日]日・祝
[交通]JR山手線五反田駅東口から徒歩1分
『ぱいち』 @浅草
どこか懐かしい風情に舌も心も鷲掴み!下町生まれのシチュー
「始まりは100年以上前に祖父が始めた“一杯”飲み屋。だから店名は逆さ読みして“ぱいち”」。そう話すのは生まれも育ちも浅草の笹川さん。その後に洋食屋へとモデルチェンジを果たし、昭和40年頃に生まれたこのビーフシチューは今も店の大看板だ。
ビーフシチュー 2350円
和風な鉄鍋でやってきたそれは、サラッとしていてスープのよう。でもひと口飲めばわかるはず、牛スジをはじめとした素材のダシが凝縮し、舌にじわじわ沁みるコクがある。塊ごと7〜8時間かけて煮込んだ具材の牛バラ肉だって箸で切れるほどホロホロだ。洋風なのにどこか懐かしく、ご飯が進む味わいは、まさに下町で育った洋食だ。
[住所]東京都台東区浅草1-15-1
[電話]03-3844-1363
[営業時間]11時半〜14時LO、17時〜20時LO
[休日]日
[交通]地下鉄銀座線浅草駅3番出口から徒歩4分
撮影/小島昇、取材/菜々山いく子
※2023年10月号発売時点の情報です。
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