世界最大級のカルデラを持つ熊本県阿蘇市には、今から約1,3000年前から存在していたと言われる、20,000ヘクタールもの雄大な草原が広がる。10月から11月には黄金色に輝くススキも見頃を迎え、まさに“おとなの絶景旅”を楽しむのにベストなシーズンだ。今回は草原に沈む幻想的なサンセットを鑑賞しながら楽しむ乗馬をメインに阿蘇ならではのアクティビティを楽しむ旅をお届けしたい。
西部劇に出てきそうな建物にときめく
熊本空港から車を走らせ、阿蘇外輪山の北西の稜線上を走る絶景道路「ミルクロード」を超えて1時間ほど。旅のはじめに向かったのは、標高850mの北外輪山に位置し、東京ドーム約32個分の広さを誇る乗馬クラブ、「夢☆大地グリーンバレー」だ。到着すると、まるでアメリカの西部劇のワンシーンから抜け出してきたような異国情緒漂う建物と、味のあるヴィンテージ感たっぷりの車が出迎えてくれる。
不登校の女の子を癒した「ホ―スセラピー」
国内の乗馬クラブでは最大規模というこちらでは、初心者でも30分から気軽にトレッキング体験(1人30分8,800円~)にチャレンジできる。因みにオーナーの梅木康裕さんは、乗馬することで心身を改善し、社会復帰などを目指すリハビリテーション療法、ホースセラピーの普及に努めている1人でもあるそうだ。
「ある時、いじめにあい、不登校になった女の子が両親と此処に来て、乗馬クラブからなら学校に行けそうと言ってくれました。その子を預かり、調教する馬の世話を日課にさせると、彼女も馬もやさしく成長し、最後は中学校に通えるようになりました。乗馬にはそれだけ人を癒す効果があるんです」(梅木さん)
筆者はこの日二十数年ぶりの乗馬体験だったが、このエピソードを聞いて乗馬にチャレンジしてみたいという気持ちがむくむくと湧いてきた。そうだ、久々に身も心も癒されたい。