タネ物での季節感も魅力のひとつ
菜「奈々ちゃん、今回いいこと言うねえ。普段なテキトーなことばっかなのに」
肥「高田純次さんを目指してるから(キリッ)。ところで松田姐さんはどんな店を取材した?」
松「うふふ、いろいろとね。新店は移転リニューアルした蕎麦界のレジェンド、石井仁さんのお店『仁行』」
松「プライベートで行ったら感動しちゃって。全10品の蕎麦懐石のみで、突き出しから全部がしみじみおいしい。もりそばに至っては、極細だけど十割のみずみずしい蕎麦がのど越し最高!いつものおと週で掲載する店の価格よりちょっぴり高いけど、絶対間違いない店よ」
岡「あと、一緒に“冬のごちそう蕎麦”もやりましたね」(冬のごちそう蕎麦について、詳しくはこちら)
松「ええ、『蕎麦前山都』は釜あげ蕎麦。麺が太くてモッチモチで具は九条ねぎのみ。シンプルだからこそ、十割蕎麦の滋味深さが沁みたし、生卵に絡めていただく『すずめの御宿』のすき焼き鍋蕎麦も抜群。どちらも冬のごちそうと呼ぶのにぴったりの蕎麦ね。岡本さんは?」
岡「割とベテラン勢の店が多かったかな。ますます腕に磨きがかかっていて、ちょっとしたつまみもすごくおいしい。印象に残ったのは、『ながえ、』にしろ『こねり庵』にしろ具材を別添えにして、最後までおいしさを追求していること。どの店にもタネ物にはタネ物の完成度の上げ方があって、いい勉強になった」
菜「どうしてもせいろやざるに目が向きがちがけど、実はタネ物を上手に作れる店が本物だと思う」
池「タネ物は季節感も感じられるし、毎年その蕎麦を心待ちにしているお客さんもいる。粋な文化だよね」
戎「みなさんのリサーチのかいあって、今年の蕎麦特集も最高の仕上がりになったと思います。やっぱり蕎麦はいいですね。小難しく考えることなく、ぜひこの号を読んでいろんな店に行ってもらい、ご自身の舌に合う味や店の風情を見つけてもらえれば、こんなにうれしいことはありませんね」
※今回の蕎麦特集のリサーチ動画(ほぼ音声)を小誌のYouTubeチャンネルで公開中!(https://www.youtube.com/channel/UCWxJoBCf10AVu2OQTXLQMQQ)
撮影/小島昇(おしん)、西崎進也(蕎麦おさめ、翁庵)、貝塚隆(すずめの御宿)、文/菜々山いく子
※2023年12月号発売時点の情報です。
※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。