『久原本家』のだしの廃棄物で土を育てる…『里山サポリ』を訪問
次世代につなげるサステナブルな食も、『久原本家』が向き合っているテーマだ。今回、久原本家と同じ思いを持ち、ユニークな循環農業に挑んでいるイタリア野菜農園『里山サポリ』城戸勇也さんの畑にも訪れた。
城戸さんの畑は『久原本家』の本社のすぐ近く。「地球の健康」を促進する循環農業を目指し、土壌をカバーするのもビニールではなく、とうもろこし由来の土に還る素材を選び、肥料も自然由来の材料を使用している。
『久原本家』の工場から譲り受けた、だしのかすもそのひとつ。魚の頭や内臓に含まれている旨味成分のアミノ酸が土壌を豊かにし、野菜を美味しくしてくれるのだ。
イタリア料理のシェフの顔も
城戸さんは畑を耕しつつ、キッチンカーやトラットリアでピザなどのイタリア料理を提供するシェフの顔も持つ。猪野川沿いにある朝食イタリアン『chicchi richi(キッキリッキー)』の15種類以上の野菜を盛り付けたサラダやスープを味わう朝のコースも評判だ。もちろん新鮮な野菜は『里山ナポリ』の畑で栽培されたもの。
久山町はもともと久原村と山田村が合併した町だが、大都市福岡市に隣接しているとは思えないほど、緑豊かな自然が残っている。実はこの環境、町民が自ら選択し、無秩序な開発を抑制してきた賜物だという。
1956年の初代から6代目の現町長にいたるまで、その方針を代々貫き、商業化・ニュータウン化することなく、緑豊かな風景に囲まれた里山を維持してきた。