全国のお雑煮5種類を食べ比べ 角餅か丸餅か、白味噌味、すまし汁…あなたは何派?

かつお菜の緑が鮮やかな「博多雑煮」

「お雑煮」は、お正月の代表的な料理。日本各地で、様々な味があるのが大きな魅力だ。今回、代表的な5種類を食べ比べる機会があった。「関東風雑煮」「関西風雑煮」「博多雑煮」「出雲雑煮」「鮭雑煮(新潟)」。角餅か丸餅か、餅は焼く…

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「お雑煮」は、お正月の代表的な料理。日本各地で、様々な味があるのが大きな魅力だ。今回、代表的な5種類を食べ比べる機会があった。「関東風雑煮」「関西風雑煮」「博多雑煮」「出雲雑煮」「鮭雑煮(新潟)」。角餅か丸餅か、餅は焼くのか、煮るのか。だしは?具材は?…あなたの好みのお雑煮を見つけてみてください!

500年前にはあった?信長は家康をお雑煮でもてなした

今から約500年前にはすでにあったといわれる「お雑煮」。実はお正月だけに食べるのではなく、上流階級の公家や武家が、大事な客人にふるまう大事な局面、祝いの席での料理だったのだそう。織田信長が徳川家康を自城に招き、互いの信頼関係を築くためお雑煮でもてなしたという記録も残っている。

言葉遊びのような願掛けや縁起担ぎがあるのもそのため。江戸時代の武士が「勝負に味噌をつけない」ことから関東風雑煮は必ずすまし汁だ。

東海地方では魚介や肉などを入れず、葉野菜のみ。これもまた「菜を餅上げる=名を持ち上げる」という願いを込めたものだという。

「勝負に味噌をつけない」武士の思いから関東では醤油味のすまし汁

その地方が誇る食材でもてなすため、地域独自のスタイルのお雑煮が定着した。すまし汁か味噌味か、角餅か丸餅か、その餅は焼くのか煮るのかなど、調理方法もそれぞれ。

もちろん使うだしも地域によって異なる。全国各地、いや各家庭で、それぞれ違うレシピがあるのがお雑煮の興味深いところだ。

「勝負に味噌をつけない」関東風

「茅乃舎(かやのや)だし」でおなじみの「久原本家(くばらほんけ) 茅乃舎」はお雑煮の多様性に注目し、WEBコンテンツ「お雑煮という奇跡」を立ち上げた。それを記念し、各地のお雑煮を食べ比べる試食会が東京都内であり、参加してきた。

食べ比べると5つの地方の具材、だしの違いを感じられて楽しい

ずらりと並んだ各地のお雑煮は色鮮やか。

関東風雑煮には鶏肉、小松菜に華やかな海老を主役にしたかつおだし。江戸時代の武士は「勝負に味噌をつけない」という縁起担ぎから、関東ではすまし汁が圧倒的に多い。お餅は香ばしい焼いた角餅だ。

肉類を入れない関西風

京都では煮た丸餅に、甘い白味噌を使うことが主流。関西風雑煮には肉類を入れず、金時人参、里芋などの優しい味に仕上げている。まぐろ節や昆布を使った「京都限定 茅乃舎おだし」で上品に。

京の都を中心とした関西風雑煮は甘白味噌で味付け、里芋を使う

かつお菜が入った博多雑煮

博多風はぶりを主役に、かつおの風味を感じるかつお菜、干し椎茸や野菜などが入った食べ応えがあるお雑煮。椎茸の風味が強く、具だくさんでこれだけで主食になりそうなインパクトだ。九州ならではの焼きあごの風味を感じる。

博多雑煮はぶりとかつお菜が色鮮やかなあごだしの汁。干し椎茸の味も力強い

いくらが添えられた新潟の鮭雑煮

西日本のぶりに対し、東日本では鮭。煮干しだしの素朴な味わいの新潟の鮭雑煮はいくらが添えられ華やか。長寿を願って白いかんぴょうが入れるのが特徴だ。

鮭といくらが目に鮮やかな新潟のお雑煮。長寿を祈り長いかんぴょうが入っている

貴重な十六島海苔を丸餅にのせた出雲雑煮

驚いたのは出雲雑煮。丸いお餅の上にのっているのは十六島(うっぷるい)海苔。荒波の中、岩に張り付いた海苔を命がけで採取し、奈良・平安時代に、朝廷への献納品だった十六島海苔は貴重な食材。ここでは鰹と昆布のだしでまとめ、磯の香りを堪能した。

島根県に伝わる伝統的な出雲地方のお雑煮。磯の風味が際立つ岩海苔を使用

キッチンスタジオでは実際に調理方法を、福岡の久山町より「御料理 茅乃舎」の岡部健二初代料理長がライブキッチン。博多雑煮の調理法をレクチャーした。

高さが出るよう立体的に、色の違うものを隣にするなど、料亭のように美しく盛り付けるコツも教わった。

「御料理 茅乃舎」の初代料理長がキッチンに立ち、博多雑煮の調理法を伝授
試食会では、お雑煮研究家、料理家、フードライターによるトークショーも開催された

2024年の“自炊はじめ”を!1月2日、3日には試食会

それぞれの地方にそれぞれの食材選び、調理法があるように、その家庭ならではのレシピがある。お正月くらいお雑煮を作ってみよう、と自炊の第一歩になるのではないかと茅乃舎は期待する。

お正月限定商品として「お雑煮のだしとつゆ」(702円税込)も販売。焼きあご入りの茅乃舎だしを煮出して専用のつゆを加えるだけで、すまし汁のお雑煮が完成する。好みの具材を用意して、理想のマイ雑煮をカスタマイズしよう。

また豊かな香りと強い旨味の鯛煮干しと、脂肪分が少ない鯛を厳選し、北海道産ホタテ貝柱と利尻昆布で上品に仕上げた「めで鯛だし」(896円)もリリース。

博多のあごだし、東京のかつおだし、京都のまぐろ節と昆布のおだしなど、各地域限定のだしを使えば、より忠実にその地域のスタイルのお雑煮を再現できる。

店舗・数量限定で京風の甘白味噌も販売する。

「お雑煮のだしとつゆ」各地の限定だしなど、自宅で気軽にお雑煮を作れる商品を展開

新年には全国15店舗限定で「ふるまい雑煮」も開催。例えば、東京都内では、東京ミッドタウン店、コレド室町日本橋店で1月2日に関東風、3日に博多風のお雑煮を試食できる(いずれも14時~)。

皆が笑顔になれる福笑いの付録付きやレシピ本付きのお年賀用商品もあるので、新年会のギフトにするのもいい。だしを生かした料理に目覚め、2024年は自炊に力を入れたヘルシーな食生活へとシフトするかもしれない。

グランスタ丸の内、東京駅の改札すぐにある「茅乃舎 東京駅店」の横に2023年10月にオープンした「茅乃舎 お椀や 東京駅店」
「茅乃舎 お椀や 東京駅店」ではだしの奥深さを感じる各種お茶漬けを展開

ひとつの碗で完結するお雑煮は完全食。「お雑煮という奇跡」にはレシピ動画も公開されているので、新年は手づくりお雑煮にも挑戦しよう。

「お雑煮という奇跡」
www.kayanoya.com/ozouni/

文・写真/間庭典子

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