『主水』 @丸の内
職人の仕込みで、サバはさらに旨くなる
旨い魚って2種類ある気がする。ひとつは鮮度抜群の魚、もうひとつは職人によって丁寧な仕事がなされた魚。ここで食べられるのは、前者に後者のワザを加えた魚だ。
島根の郷土料理店の名物は、サバのしゃぶしゃぶ。刺身でも食べられるサバを醤油ベースのツユにくぐらせて食べる島根の漁師めしだ。
さばしゃぶ 1人前 1740円
サバが温まるくらいにしゃぶしゃぶしゃぶ。シャキシャキの薄切り玉ねぎともやしを巻いて食せば、コクのある甘露醤油、香り良い玉ねぎがサバの甘みを引き立てる!
同店のサバは、毛細血管レベルで血抜きを施し余分な水分をしっかり抜いた上で氷温冷蔵。そうすることで、鮮度を保ちつつ旨みが凝縮されるそう。東京でもこんなサバにありつけるなんて……、職人技に拍手喝采だ。
[住所]東京都千代田区丸の内3-2-3 二重橋スクエア地下1階
[電話]03-6206-3966
[営業時間]11時~14時半(14時LO)、17時~23時(22時半LO)
[休日]日
[交通]地下鉄日比谷線ほか日比谷駅B5出口から直結
『かきしゃぶ屋』 @東銀座
牡蠣の一番旨い食べ方、見つけました!
初めて知った。牡蠣って生よりしゃぶしゃぶにした方がおいしかったのか、と。店主が牡蠣しゃぶに出合ったのは、約25年前。産地の業者から聞き試してみると、その味の変化に驚いたという。
利尻昆布ダシの中でさらさらと洗われた牡蠣は内側から風味が立ちのぼるよう。火が通ることで身がしっとりとし、甘みも増す。こんなの食べたことない!
牡蠣と穴子しゃぶ 1人前 4300円
しかもこの牡蠣しゃぶ、冬だけじゃなく一年中食べられるメニューなのだ。春に身が一番大きくなる三陸産や、夏には濃厚さを増す北海道産などなど。使う牡蠣はその時期に一番おいしい産地のものだ。「種類や季節によって味が変わる牡蠣の面白さを伝えたい」と店主は話す。新たな発見もうひとつ。牡蠣は春夏秋冬の季語かもね。
[住所]東京都中央区銀座4-13-15 成和銀座ビル地下1階
[電話]03-6228-4087
[営業時間]11時半~22時(21時LO)
[休日]水
[交通]地下鉄日比谷線ほか東銀座駅から徒歩1分
『割烹 藤』 @中目黒
具材は何と蛤だけのシンプルな旨さ
今か今かと鍋を見守る高揚感。硬く閉じたその口がパカッと開けば思わず拍手、よくぞ隠れた美味の姿形を現してくれました。いそいそと殻を手に取り、ふっくらした身に口を近づけエキスごとチュッと啜れば旨さも全開。くう、蛤と対峙して心底わかり合えた気分だ。だって脇役の野菜類は一切ナシ。貝をシンプルに味わうことこそが醍醐味なのだから。
はまぐりしゃぶしゃぶ 1人前(150g) 1650円
それもこれも素材の上質さがモノをいう訳で、使うのは三重県桑名産。淡水と海水が混じり合う栄養豊富な漁場で育つそれは柔らかくて味が濃厚、程よい塩分を含むのも特長だとか。
魅力を生かすため昆布ダシに少量ずつ投入して貝が開く瞬間を待つのが“藤流”。この鍋をはじめ人気の「からすみ蕎麦」が付くコースもおすすめだ。
[住所]東京都目黒区東山1-8-6 サンロイヤル東山109
[電話]03-4362-8597
[営業時間]18時~24時(23時LO)
[休日]日
[交通]東急東横線ほか中目黒駅正面口から徒歩10分
撮影/鵜澤昭彦(能登美、三忠)、小澤晶子(おかもと、藤)、小島昇(主水)、西崎進也(かきしゃぶ屋)、取材/肥田木奈々(能登美、おかもと、藤)、藤沢緑彩(三忠、主水、かきしゃぶ屋)
※2024年2月号発売時点の情報です。
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