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居酒屋での暖機運転はかつ煮とビールで

“食堂”という文字を“さかば”と読んでしまうのは私だけでしょうか。いろんなおかずで一杯やれる「食堂呑み」は、ユネスコ無形文化遺産に登録されるのも時間の問題かと。

田端の『動坂食堂』も、食堂呑みにうってつけの一軒です。

田端『動坂食堂』ロースカツ煮 700円

田端『動坂食堂』ロースカツ煮 700円

なんといっても、かつ煮があるところが、ウェルカム呑兵衛な証拠。ニンジンと玉ねぎのスライスと共に煮込まれた厚切りかつのお目見えです。

「白鶴」のワンカップがかつ煮の旨みを増幅し、しらすおろしで一旦リセット。かつ煮→白鶴→しらすおろしの無限ループに入った私には、一筋の光が差していたことでしょう。

江戸川橋の『居酒屋 いずみ』には、豊富な海鮮メニューの中にかつ煮が隠れていました。

刺身で日本酒をやる前に、かつ煮と瓶ビールで暖機運転(死語)を行います。料理の提供が早い同店ですが、かつ煮はさにあらず。それもそのはず、衣をつけてフライにするだけでも手間なのに、それを煮るのだから。サックサクの揚げたてを敢えてジュワジュワに仕上げる背徳的な妙味に、そりゃビールも進むというものです。

江戸川橋『居酒屋 いずみ』カツ煮 820円

江戸川橋『居酒屋 いずみ』カツ煮 820円

本八幡の『とんかつ ばんぶー』は千葉県一との呼び声も高いとんかつの名店。かつ丼はないのに、かつ煮はあるのがユニークだと思い、行ってみました。

近所の銭湯でひとっ風呂浴び、呑む準備は万端。さあ、かつ煮を頼んでみましょう……あれ?定食しかありません。かつ煮で一杯やる目論見が、店のピリッとした雰囲気にも気圧されてご飯抜きとかの相談もできずに、そのまま定食でいただくことに。

本八幡『とんかつ ばんぶー』ロースかつ煮定食 1700円

本八幡『とんかつ ばんぶー』ロースかつ煮定食 1700円

親子鍋のままやってきたかつ煮は、3センチはあろうかという厚切り肉がごろごろ。真ん中の三つ葉の下には、全体の卵とじに加えて半熟卵が隠れています。旨い!濃いめの味付けでご飯と合う!もうこのご飯に乗っけたいくらい……あ、それって第三形態、かつ丼じゃん!

撮影・取材/渡辺高、イラスト/植田まほ子

2024年3月号

※2024年3月号発売時点の情報です。

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

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おとなの週末Web編集部
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