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クルママンガで初代セルボ熱が再燃

そんな純真な小学生時代ではあったが、熱しやすく冷めやすい性格ゆえすぐに忘れて、私の興味の対象外となったセルボ。しかし、あることがきっかけで熱中することに!!

それは80年代のクルママンガの『よろしくメカドック』(次原隆二、1982~1985年・週刊少年ジャンプ)だ。『サーキットの狼』でスーパーカーの魅力を叩き込まれ、『よろしくメカドック』でクルマのチューニングというものに目覚めた人は多いはず。当然私も例外ではなくハマった。

その『よろしくメカドック』が『週刊少年ジャンプ』で連載が始まった頃私は高校1年生だったが、仲間内で話題になるようになったのは高校2年生の頃。で、その作中に登場する早坂優ちゃんが、乗っていたのが初代セルボだった。優ちゃんは警視庁交通化の女性交通巡視員で、初代セルボは彼女が交通巡視に使うミニパト。ドアに警視庁のロゴが入っている白黒パンダカラーの初代セルボ、よかったなぁ。これで存在すら忘れていた初代セルボが私の中に一気に甦った。ミニパトのチューニングを主人公に依頼する、という破天荒さとカワイさのギャップに萌えたね。

『よろしくメカドック』の早坂優のミニパトに初代セルボを選んだ次原先生のセンスに脱帽。当時プラモデルも発売されて人気

初代セルボは1982年6月に販売を終了し、2代目に切り替わった。つまり『よろしくメカドック』の連載が始まった1982年後半の時点ではすでに2代目が販売されていたにもかかわらず、敢えて初代が選ばれたのは、初代セルボが”絵になるクルマ”だったという証だと思う。

初代セルボは、1977~1982年の4年8カ月で約8万5000台を販売したと言われている。バカ売れしたわけでもないし、不人気車だったわけでもないと思う。その初代セルボの販売は1979年に47万円の低価格を大々的にアピールしてデビューした初代アルトの存在は無視できない。税制面で優遇されていた「軽ボンネットバン」だったこともありメガヒットを飛ばした。女性をターゲットとした初代セルボもかなり食われたのは間違いない。

初代セルボは販売台数や動力性能といった数字よりも、デザインをはじめとするインパクトで爪痕を残したクルマと言えると思う。

【初代セルボCXG主要諸元】
全長3190×全幅1395×全高1210mm
ホイールベース:2030mm
車重:550kg
エンジン:539cc、直列3気筒(2サイクル)
最高出力:28ps/5000rpm
最大トルク:5.3kgm/3000rpm
価格:60万8000円(4MT)

【豆知識】
初代アルトは1979年にデビュー。現在もアルトはスズキの主力モデルとして販売されていて、現行モデルが9代目。初代は47万円という低価格が衝撃的だったが、軽ボンネットバンという新ジャンルを構築したことでも有名。当時軽乗用車は新車購入時に物品税(15.5%)が課せられていたのに対し、軽ボンネットバンは物品税が非課税(後に5.5%)と優遇されていたこともあり大ヒット。初代アルトの登場後に各メーカーが軽ボンネットバン市場に参入した。いいものを安く、というスズキのポリシーを具現化したクルマだ。

1979年にデビューした初代アルトは軽ボンネットバンという新ジャンルのパイオニア。47万円という低価格に加え税制面で大きく優遇されていたこともあり大ヒット

市原信幸
1966年、広島県生まれのかに座。この世代の例にもれず小学生の時に池沢早人師(旧ペンネームは池沢さとし)先生の漫画『サーキットの狼』(『週刊少年ジャンプ』に1975~1979年連載)に端を発するスーパーカーブームを経験。ブームが去った後もクルマ濃度は薄まるどころか増すばかり。大学入学時に上京し、新卒で三推社(現講談社ビーシー)に入社。以後、30年近く『ベストカー』の編集に携わる。

写真/SUZUKI

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市原 信幸
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