2024年に2月20日に発表された「肉ビル」こと「肉の万世秋葉原本店」の閉店はショッキングなニュースであった。レストランや焼き肉店は本店以外にも店舗があり、また秋葉原にも新店舗がオープンしているが、『万世麺店』の「排骨(パーコー)麺」がなくまってしまう。揚げた豚肉を乗せたこのラーメンはどんな味わいなのだろうか?
連日行列ができている「肉ビル」1階の『万世橋酒場』
3月といえば当然のことながら年度末である。そしていろいろな出会いと別れがある。例えば横浜で動いている等身大のガンダムは、会期を延長してきたものの、とうとうこの3月で公開終了となる。とはいえ、大阪万博に移設されるそうだから、まだ見てない人にもチャンスがあるだろう。
そして同じく2024年3月31日に「肉の万世秋葉原本店」がクローズする。今年2月の時点では5階の焼肉が移転し、1階と3~4階のレストランの営業のみだったが、4階のレストランはすでに営業を終了している。
3月25日に秋葉原本店に代わるレストランとして「肉の万世アキバプレイス店」がオープンしたからだろう。すでにオープンしている「焼肉の万世秋葉原店」と合わせて、秋葉原で万世の肉を味わうことはできるようになった。しかし、代替店舗がないのがラーメンなのだ。
秋葉原本店1階の店舗には『万世麺店』の表記もあるのだが、ラーメンも提供する居酒屋の『万世橋酒場』というのが正確なようだ。かつて『万世麺店』の1号店が有楽町にオープンしたが、33年の歴史を誇る秋葉原本店ができる前のことだ。
その後店舗を増やしていったが、コロナ禍などで店舗が減少し、2023年4月には霞が関店を閉めている。同年6月30日には、入居する有楽町ビルの建て替えに合わせて1号店の有楽町店が閉店となり、すべての万世麺店が営業を終了した。
排骨拉麺の食べおさめに肉ビルへ!!
『万世橋酒場』 というだけあって、かつてはつまみにもつ煮や牛すじ、肉焼売など多くのメニューがあった。また食事もキーマカレーやつけ麺の「ざる排骨麺」なども用意されていた。カレーと排骨麺のセットなんてのもあったのだ。
いよいよ閉店が迫る中、食べおさめとして3月26日に同店を訪れたが、メニューは排骨拉麺とダブル排骨麺(排骨2倍)、ボリューム排骨拉麺(排骨1.5倍)のみとなっていた。また立ち飲みだった夜の営業は、残り数日の時点では夜もラーメン店として営業して、排骨麺を食べにくるお客さんに対応していた。
麺の大盛りやダブルなどいろいろと悩んだのだが、後から食べる人のことを考えて、ノーマルの排骨拉麺を選んだ。というのは、前日急いで仕事を終わらせて来店した際は、ラストオーダーの1時間前の時点で材料売り切れで閉店となっていたからだ。
そこで前日より早く店に到着したのだが、強風と雨のためかやや客足が鈍っており、店内は満員ながら列はとても短く、あまり待たずに店内に入ることができた。ゆるやかな「くの字」型の店内はカウンター席のみなのだが、店の奥に向けて驚くほど長いカウンターで、ざっと見たところ席数は30弱といったところ。
席に座ってから店員さんに食券を渡したが、ラーメンが出てくるまで時間がかかるのかと思いきや、素早い作業によって10分ほどで「排骨拉麺」が供された。肉ビルには何回か来ているが、実は排骨拉麺を食べるのは初めて。排骨拉麺自体は、かつてあった新宿西口店で食べたことがあるのだが、それはずいぶん前のこと。今回久しぶりにありつくことができた。
力強い「排骨」が食欲をそそる
酒場ということもあり、今回は生ビールを合わせて注文した。排骨と一緒に「ぐびぐび」行きたい欲求を抑え、まずはスープを味わう。豚と鳥のだしに野菜を合わせた醤油スープは、とてもすっきりとした味わい。「ガツン」と来るものはないのだが、優しい味わいでいつまでも飲んでいたくなる。
続いて麺に箸を伸ばす。すくってみると中太でとてももちもちしている。聞けばたまご麺とのことだが、これも優しい味わいで、あっさり味のスープとのマッチングもばっちりだ。
そしていよいよ「パーコー」を口に運び、ビールをグビッといく。思わず「うまい!!」と声が出てしまう。半分スープに浸かった排骨だが、上面はサクサクでいい食感を楽しめる。加えて下面は、しみ込んだスープが豚肉の味わいをさらに高めてくれている。麺・スープ・排骨の組み合わせが最高なのだ。
あっさりスープとずっしり排骨の完璧なハーモニーを楽しみつつ、あっという間に食べ終わってしまった。やっぱりダブルにすればよかっただろうか?