新車の値段が年々高くなっている。円安による資材の高騰、高度な安全装置の義務化などその理由は様々だが、ユーザーにとってその痛手は大きい。そうなると手ごろな価格の「中古車」はとても魅力的に感じる。しかし、それは本当にお得なクルマの買い方なのだろうか?
画像ギャラリー新車の値段が年々高くなっている。円安による資材の高騰、高度な安全装置の義務化などその理由は様々だが、ユーザーにとってその痛手は大きい。そうなると手ごろな価格の「中古車」はとても魅力的に感じる。しかし、それは本当にお得なクルマの買い方なのだろうか?
売買されるほど「割高」になる中古車
中古車の価格は、当然ながら同程度の新車に比べて安い。そうなると中古車の購入は、お金の節約に効果的なのか。この判断はユーザーの好みや車両の使い方によって異なる。
まず基本的な話として、クルマは売買される回数が増えるほど、価格が割高になっていく。売買を行う度に、業者の利益が上乗せされるからだ。
例えば新車を買って廃車にするまで使えば、利益を支払った相手は、メーカーと販売会社だけだ。ところが中古車を買うと、少なくとも中古車業者の利益が中古車価格に上乗せされる。オークション(中古車のセリ市)を経て流通した車両なら、そのコストも加わる。
この点を考えると、最もトクするクルマの使い方は、新車を買ってほぼ廃車にするまで少なくとも10年以上は乗り続けることだ。消耗品以外のパーツ交換が増えると、出費も高騰して損失に繋がるから、その直前を見極めて手放す。
そして10年以上という長い乗り替え周期を利用して、新車の購入資金を貯めておき、今まで使ってきた車両を手放すと同時に新車を現金で買う。これを繰り返すのが一番トクだ。
ちなみに以前は、安価な中古車を購入して、3年ごとくらいに乗り替える方法もあった。しかし最近は、価格が40万円以下で3年程度は使えそうな修復歴のない中古車が大幅に減っている。この状況では、例えば価格が111万9800円のスズキアルトLを新車で購入して、10年以上にわたって使うのが効果的だ。
それでも中古車を選ぶ理由は?
中古車の購入が効果を発揮するのは、新車では、目的に合ったクルマを予算の範囲内で入手できない場合だ。例えば100万円の予算でミニバンを買いたいとすれば、新車から選ぶのは不可能になる。
そこでマツダプレマシーの中古車を探すと、2016年以前の年式なら、総額100万円で購入できる車両もある。このようなニーズでは、必然的に中古車を選ぶことになる。
文/渡辺陽一郎(わたなべ よういちろう):自動車月刊誌の編集長を約10年間務めた後、フリーランスに転向した。「読者の皆様にケガをさせない、損をさせないこと」を重視して、ユーザーの立場から、問題提起のある執筆を心掛けている。執筆対象は自動車関連の多岐に渡る。
写真/マツダ、Adobe Stock(アイキャッチ画像:xiaosan@Adobe Stock)