愛子さまも召し上がった?
天皇、皇后両陛下の場合も、地方でのご公務へ向かわれる際には、現地入りされてからご訪問先の知事らと、ご昼食をともにされることが多い。これまでに、列車内でご昼食を召し上がったのは、2019(令和元)年9月の茨城県へ向かわれたお召列車の時だけであった。この時のメニューは非公開とされ、駅弁だったのか軽食だったのかもわからない。
一方で、長女の愛子さまは、2024(令和6)年3月に三重県と奈良県をご訪問された際に、移動中の“近鉄特急”の中で「駅弁」を召し上がっている。近鉄の松阪(まつさか=三重県)駅で販売されている新竹(あらたけ)商店の「モー太郎弁当(1700円)」と「元祖特撰牛肉弁当(1700円)」だった。過去には、高松宮宣仁親王も駅弁を購入されたことがある老舗だ。
愛子さまが、どちらの駅弁を召し上がったのかは気になるところだが、おそらくは弁当のふたを開けるとメロディーを奏でる「モー太郎弁当」だったのではないだろうか。“今どきの女子”でもある愛子さまが、その光景をご自身の“スマホ”で撮影なさったとしたら、なんとも微笑ましいことだろう。
昭和の時代、掛け紙に「宮内庁御用達」と書かれた駅弁があったことを思い出した。昭和天皇が、お召列車で毎年訪れるたびにご注文された駅弁だった。過剰な宣伝は好ましくないが、同じ駅弁を食べることで身近に感じる皇室という存在も、さもありだろうと思う。
文・写真/工藤直通
くどう・なおみち 日本地方新聞協会皇室担当写真記者。1970年、東京都生まれ。10歳から始めた鉄道写真をきっかけに、中学生の頃より特別列車(お召列車)の撮影を通じて皇室に関心をもつようになる。高校在学中から出版業に携わり、以降、乗り物を通じた皇室取材を重ねる。著書に「天皇陛下と皇族方と乗り物と」(講談社ビーシー/講談社)、「天皇陛下と鉄道」(交通新聞社)など。