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期間限定だったオープンカー

ご即位のパレード「祝賀御列の儀」や、伊勢神宮ご参拝で注目を浴びたオープンカー仕様の御料車。このクルマは、内閣府が祝賀御列の儀のために用意したもので、宮内庁が購入したものではなかった。一時期的に、内閣府から宮内庁への“管理換え”という事務手続きを経て“期限付き移籍”したもので、表向きには菊の御紋章を身にまとった「御料車」へと変身したものだった。一連の儀式を終えると、内閣府へ返納された。宮内庁では、「御料車第6号」という管理番号が付与され、皇室用ナンバープレートには「皇10」の文字が輝いていた。

平成のときは、英国・ロールスロイス社製のオープンカーが総理府(当時)によって用意され、式典後には宮内庁へと“移籍”している。1993(平成5)年6月、天皇、皇后両陛下(当時は皇太子ご夫妻)のご成婚パレードで活躍したことも、懐かしい思い出である。

一時期的に御料車へと編入されたトヨタ「センチュリー」特注オープンカー=2019(令和元)年11月23日、伊勢神宮内宮(三重県伊勢市)
儀式に対応するべくゆったりとした座席配置になっており、御料車にふさわしいオープンカーだった=2019(令和元)年11月23日、伊勢神宮内宮(三重県伊勢市)

天皇家のクルマは何台所有?

御料車は、公務で使用するものと、私的行事で使用するものに大別される。これは公私の区別をはっきりさせたいとする上皇陛下が、天皇陛下となられた平成の御代替わりと同時に始めたとされる。平成の時代は、公務=御料車、私的=特別車と区別していたが、令和になってからはすべてを御料車と呼ぶ。

御料車のナンバープレートには、皇室用ナンバー(公務用御料車)と、品川ナンバー(私的行事用御料車)の2種類が存在する。皇室用ナンバープレートは、“皇室用”となってはいるが、実際は皇族方のクルマには適用されない。また、その形状は通常のナンバープレートとは異なり、直径10cmの銀メッキを施した円形プレートに「皇」の文字と「算用数字」を縦に配列したものになっている。ちなみに、自動車税は他の官公庁の公用車と同様に非課税であるが、自動車重量税は課税対象となり宮内庁が納付している。

現在、皇室用ナンバープレートを付けた御料車が7台、品川ナンバーの御料車は6台(うち2台は上皇ご夫妻用)の計13台が登録されている。そのうちの1台には、天皇陛下が私的に使用されるトヨタ「クラウン」もある。なお、このなかに“愛子さま用”のクルマは含まれていない。

中央に写る「銀色の円形プレート」が皇室用ナンバープレート。通常のナンバープレートの位置には、菊華御紋章が取り付けられる=2019(令和元)年11月23日、三重県伊勢市
品川ナンバーの御料車、トヨタ「センチュリー」=2022(令和4)年1月1日、東京都港区伊皿子坂付近
上皇ご夫妻へ新年ご挨拶のため高輪仙洞御所(当時)を訪れた時の天皇ご一家=2022(令和4)年1月1日、東京都港区伊皿子坂付近

文・写真/工藤直通

くどう・なおみち。日本地方新聞協会皇室担当写真記者。1970年、東京都生まれ。10歳から始めた鉄道写真をきっかけに、中学生の頃より特別列車(お召列車)の撮影を通じて皇室に関心をもつようになる。高校在学中から出版業に携わり、以降、乗り物を通じた皇室取材を重ねる。著書に「天皇陛下と皇族方と乗り物と」(講談社ビーシー/講談社)、「天皇陛下と鉄道」(交通新聞社)など。

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