クルマでドライブして地元のおいしい物をいただく。食とクルマは関係性が深いが、クルマを運転するための免許更新。75歳からの「大きな壁」となるのが「認知機能検査」。それを突破するには脳活が一番だが、「脳活とクルマ」には実は深い結びつきがあるんです!!
画像ギャラリークルマでドライブして、旅して地元のおいしい物をいただく。食とクルマは関係性が深いが、クルマを運転するための免許更新。75歳になると「大きな壁」が現れる、というのをご存じだろうか。それが「認知機能検査」。75歳以上のドライバーはこれに合格しなければ、免許更新されないのだが、意外と難易度は高い。合格するためには「一にも二にも日頃からの脳活が一番!!」といわれるが、「脳活とクルマを動かす」ことには結びつきがある。いったい、どういうことなのだろうか?
■この8枚のイラスト。2分間記憶して「何が描いてある」か答えられますか?
75歳以上の高齢ドライバーが起こす死亡事故の割合が上昇しているという現状があり、その背景には「認知症が原因」というケースが少なくない。
その対策として、警察庁が75歳以上のドライバーに対して義務化しているのが「認知機能検査」。これに合格しないと運転免許の更新がされない。
上で紹介しているのが「認知機能検査」と同様のもの。
4枚が1セットになったイラストを約1分間で記憶することが1セット。同様のことを続けて3セット、合計4セット実施し、トータル16枚のイラストを合計約4分間で記憶するという内容。
そして「その16枚のイラスト、何が書いてありましたか?」というのが出題内容だが……、75歳以上にとっては正直なところ難しい。
「検査を受けるにあたり、脳の活性化がカギになります。脳は使えば使うほど鍛えられ、老化のスピードを遅らせることができますから」
こう語るのは脳神経内科専門医・塚本浩先生。現在、東京医科大学茨城医療センターで脳神経疾患の専門診療に携わりながら、認知症の早期発見や予防研究も行う、脳の専門医。
その塚本浩先生が総合監修する『運転免許認知機能検査 完全攻略本』という本が発売されているが、その本の中から「脳の仕組みとクルマを動かすこと」についてを、次項で紹介したい。
■「2~3日前に食べたものは覚えていないが、遠い記憶は……」(塚本浩先生)
認知機能検査を経て、最終的に医師から「認知症」と診断された場合、法律に基づいてクルマの運転は禁止となります。
認知症の方は直近に覚えた記憶である短期記憶を保管する「海馬(かいば)」という部位の機能低下が顕著なことが多いので、ついさっき覚えたことを忘れてしまいます。
いっぽう、一定の時間が経過すると海馬は必要な記憶と不必要な記憶を取捨選択して、必要な記憶のみを大脳皮質という脳の別の部位に移します。この記憶は長期記憶と呼ばれます。
大脳皮質は認知症に、り患しても比較的萎縮しづらいため、長期記憶は最後まで残ることが多いのです。
たとえば、2~3日前に食べたものは覚えていないのに、子どもの頃に仲がよかった同級生の名前は思い出せるといったことはありませんか?
これは、2~3日前に食べたものの記憶(短期記憶)は海馬に、同級生の名前(長期記憶)は大脳皮質に保管されているためです。
■「認知症になっても若い頃に覚えたクルマの運転は忘れません」(塚本浩先生)
実はクルマの運転は長期記憶として脳に保管されているため、認知症になっても若い頃に覚えたクルマの動かし方は忘れないのです。
ただし、クルマの動かし方を覚えているだけで、逆走や信号無視は危険、横断歩道に人がいたら止まるなど、安全に走るために必要な判断力は失われていきます。
この危険な状態を察知するために有効なのが認知機能検査です。
直近に覚えたイラストを覚えて答える検査は、海馬をはじめとした「安全運転」をするうえで欠かせない部位が、正常に機能しているかをチェックできるからです。(脳神経内科専門医・塚本浩)
別冊ベストカー
「運転免許認知機能検査 完全攻略本」
総合監修:塚本浩(脳神経内科専門医)
定価1320円(本体1200円・税10%)
講談社ビーシー/講談社
文:おとなの週末Web編集部/写真:Adobe Stock
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