『おとなの週末Web』で好評連載中の「ニッポン“チャーラー”の旅」から端を発した(!?)、スタンプラリー型の食べ歩きイベントが、2024年8月31日まで愛知県内の中華料理店全12店を舞台に開催中。公式アンバサダーを務めるライター・永谷さん自ら全店制覇を目指します。その第2弾。今回も2軒巡りました。
画像ギャラリー『おとなの週末Web』で好評連載中の「ニッポン“チャーラー”の旅」から端を発した(!?)、スタンプラリー型の食べ歩きイベントが、2024年8月31日まで愛知県内の中華料理店全12店を舞台に開催中。公式アンバサダーを務めるライター・永谷さん自ら全店制覇を目指します。その第2弾。今回も2軒巡りました。
4日で全店制覇のツワモノ現る!
名古屋市内及び近郊にある12軒の中華料理店でチャーラーを食べ歩くイベント「チャーラー祭り2024夏 supported by おとなの週末」。6月15日(土)から始まり、なんと、わずか4日間で全店制覇を成し遂げた猛者がいるとの報告を受けた。
全12店を4日間で巡ったということは、昼と夜、そしておやつにチャーラーを食べたということになる(笑)。どれだけ強靭な胃腸の持ち主なのだろう。客に扮しておいしい店を探す『おとなの週末』の覆面取材要員としてスカウトしたいくらいである。
元祖名古屋中華とは
さて、マイペースながら私もコツコツとチャーラー祭りの参加店を巡っていて、今回も2軒の店をレポートしたいと思う。
まずは、名古屋市熱田区伝馬町にある『元祖名古屋中華 渡辺』。店の入口にはチャーラー祭りのポスターが掲げられ、イベントを盛り上げたいという店主の心意気が伝わってきた。
注文したのは、提供メニューである「炒飯+冷麺」(1210円)。町中華における夏の定番だが、このセットはチャーラー祭りが終わる8月31日(土)までの限定メニューとか。
ふと、店内の壁に目やると、「冷やし中華 950円(税込1045円)」という貼り紙が目に飛び込んできた。と、いうことは「炒飯+冷麺」の炒飯はたったの165円(笑)。お値打ちすぎる。
実はここ、激安のセットメニューがウリというか、それまでアラカルトのみだった中華料理店にセットメニューを普及させた革命的な店の流れを汲む店なのである。
「先代が料理長として働いていた覚王山の『真弓苑』という店で中国人の料理人、蔡洪涛(さい こうとう)さんと出会い、互いに切磋琢磨して料理の腕を磨きました。そして、コーヒーを注文するとトーストやゆで卵が付いてくる喫茶店のモーニングサービスを参考にお値打ちなセットメニューを出したところ、大人気となりました」と、店主の渡辺司さん。
その後、先代と蔡さんは独立。先代は名古屋駅前に『中国料理 千龍』を、蔡さんは千種区に『中国料理 龍美』を開店させた。渡辺さんは兄弟とともに『中国料理 千龍』で働いていたが、2年前に独立してここをオープンさせたのだ。
一方、『中国料理 龍美』の蔡さんは5年前に亡くなり、現在は息子さんが後を継いで店を切り盛りしている。渡辺さんと、蔡さんの息子の斎藤さんは今も親交があり、セットメニューが充実している両店を「元祖名古屋中華」としてPRしている。また、『中国料理 龍美』もチャーラー祭りに参加しているので、いずれ紹介させていただく。
炒飯と冷麺の無限ループ
前置きが長くなったが、これが「炒飯+冷麺」。冷麺はしっかりと1人前のボリュームがあり、炒飯は通常の8割くらいといったところか。それでもかなりのボリュームがあり、チャーラー好きも満足するだろう。
まずは冷麺から。具材はチャーシューと錦糸玉子、きゅうり、椎茸、レタス、パセリ、トマト、ワカメ、刻み海苔と盛り沢山。写真からは見えにくいが、レタスにマヨネーズがのっているのも名古屋っぽい。
具材をかき分けて麺をリフト。イッキにすすり込むと、コシのある麺の食感とともにタレのマイルドな酸味が広がる。いやー、旨いねぇ。
夏場はわが家でも冷やし中華をよく作る。名古屋ではお馴染みの「寿がきや食品」の2食入りパックで。きゅうりやハムを刻んだり、錦糸玉子を作ったりと手間がかかるため、もっぱら作るのは週末になるが、やはり家と店では完成度がまったく違う。
口の中が冷麺のタレの酸味が広がったところで炒飯を食す。炒飯の塩気が口内を中和させてくれるだけではなく、炒飯の複雑な味で満たされていく。んー、これもたまらん! 夢中で炒飯を頬張ると、今度は冷麺が食べたくなる。まさにチャーラー無限ループである。いやー、おいしかった!
満腹必至の「タカ飯チャーラー」
2軒目は名古屋市西区の円頓寺商店街の中にある『タカ飯店』。インスタなどのSNSにアップしたチャーハンの調理風景の動画が注目を集める『麺屋はなび』の大将、新山直人氏の下で修業を積んだ店主が昨年2023年8月にオープンさせた店だ。
少し内輪の話をさせていただくと、ここはチャーラー祭りの主催者である愛知県中華料理生活衛生同業組合の加盟店ではない。愛知県はもちろん、全国でもこれまで例のないチャーラーの食べ歩きイベントを盛り上げるべく、今回特別に招聘したのである。
さて、ここで提供されるのは「タカ飯チャーラー」(1500円)というチャーハンと中華そばのセット。チャーハンは単品で800円、中華そばは900円なので、本来は組み合わせると1700円となるが、チャーラー祭りの期間限定で200円引きの1500円で楽しめるのだ。
だからといって、チャーハンも中華そばも量を減らしたりはしていない。それぞれしっかりと1人前のボリュームがあり、チャーラー祭りのキャッチフレーズである「満腹になる、夏」を実感できることだろう。
チャーハンと中華そばはほぼ同時に着丼。やはり、チャーラーはこうでなくっちゃ。チャーハンだけ先に出されて、半分以上食べたところでラーメンを出されると、軽く殺意さえ抱いてしまうもんな。
『麺屋はなび』新山大将直伝の味
では、中華そばからいただくことにしよう。具材はチャーシューとメンマ、ナルト、海苔、ネギ。もう、このビジュアルからしておいしいに決まっているではないか。
スープを飲んでみると、鶏ガラの深いコクと芳醇な醤油の香りが相まって“口福”に満たされる。たまらず、麺をすする。中太ストレートの麺も適度にコシがあり、のど越しも抜群だ。いかん、このままだと一気に食べてしまう。半ば無理矢理にブレーキを掛けて食欲の矛先をチャーハンへシフトさせた。
チャーハンも見るからに旨そう。『麺屋はなび』の新山大将直伝ゆえに期待度はハンパない。まずはビジュアルからチェックしてみよう。
まず気になったのはご飯。一粒ひと粒に旨みを凝縮させた油がコーティングされていて、炒めムラはまったくない。そして、具材。チャーシューとネギ、卵といたってシンプルだが、巷のチャーハンとはいったいどこが違うのか。では、いざ実食!
おおっ! レンゲですくったチャーハンが口の中でふわっとほぐれていくさまは高級寿司店の寿司のよう。そして、しっとりとした食感とともにチャーシューの旨みを基調とした複雑な味わいが広がっていく。たしかにこれは旨い! チャーラー祭りが終わってからもリピートすることは間違いない。
会計時に店主に挨拶すると、チャーラー祭りの反響は上々らしく、多くの人々がスタンプシートを持参して店を訪れているらしい。今回の食べ歩きでスタンプは4個。やっと1/3が終わった。全店制覇をめざして頑張るぞ!
取材・撮影/永谷正樹
画像ギャラリー