食欲の秋、真っ只中。クルマでドライブし、ご当地のおいしいものを食べに行きたいものだけど、最近のクルマ……、運転にかかわるスイッチ類が多く、複雑なタイプが実に多い! 高齢ドライバーになると、それら複雑なスイッチ類に気をとられ、クルマの運転がおろそかになり、ヒヤリとすることも! それを受け、ある脳神経内科専門医が「意外な提案」をしてくれた。
「最新の多機能なクルマは高齢者には少々過酷」(塚本浩先生)
その専門医は塚本浩先生。現在、東京医科大学で脳神経疾患の専門診療に携わりながら、認知症の早期発見や予防研究も行っている脳の専門医だ。
高齢者を数多く診る、塚本先生が高齢者のクルマ選びについて独自見解を語ってくれた。
「私のクリニックを受診する高齢の方のなかには『クルマに乗らなくては生活ができない』と訴える人がいます。そんな方によくアドバイスするのが、『最新の多機能なクルマに乗らない方がいい』ということです。
最近のクルマにはたくさんのスイッチがあり、ディスプレイにもさまざまな情報が表示されます。それらは便利な反面、衰えはじめた高齢者の脳にとっては少々過酷……。
目や耳から情報を入れすぎると脳はパンクして運転脳が正常に働かなくなり、操作ミスの危険が高まります。高齢になったらなおさらです」
ディスプレイ表示に気を取られ、注意力が散漫になることも!!
さらに、塚本 浩先生の話は続く。
「具体的にいうと、クルマを運転中、ディスプレイに情報が表示されたり、音声が流れたりするたびに、それに気をとられて注意力が散漫になります。すると、アクセルとブレーキの踏み間違いなどの操作ミスが起きやすくなり、非常に危険です。
また、カーナビも要注意です。音声や画面の表示が脳を混乱させることもあるからです」
なるほど……と納得できる話。つまり、高齢ドライバーにとっては、運転するためにシンプルな操作系のクルマがおすすめ! ということだ。
前項にある「アイオニック5N」の写真。多機能すぎるスイッチ満載のクルマも高齢者にはおすすめできないが、上でとりあげた「モデル3」の写真のように、ほぼボタンがないシンプルすぎるクルマも逆にわかりづらい。操作系にかかわるクルマ選びは慎重にいきたいものだ。