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「鴨肉」が主役?大丈夫なのか…

取材時に登場したのは、なんと「鴨」が主役のかき氷だ。アンデスメロンと鴨の西京味噌漬けのローストのほか胡桃飴がけ、セルフィーユやペンタスの花がかき氷の上に添えられ、美しい花畑のようなビジュアルに仕上がっている。

「鴨肉、アンデスメロン、胡桃のかき氷」(2900円)。アーティスティックで華やかなビジュアルも魅力

正直なところ、平凡なかき氷しか食べたことのなかった筆者は「この組み合わせ、本当に大丈夫だろうか・・・?」という不安が一瞬頭をよぎった。

しかし・・・!ひとくち口に含んでみると、衝撃のおいしさに驚きが止まらない。これは、かき氷というよりもはやイノベーティブ(革新的)なフランス料理を食べているような感覚である。メロンの爽やかな酸味が鴨のうま味を引き立て、西京味噌の上品な甘みが2つの食材の味わいを上手に繋いでくれている。

食べ進めるごとにさまざまな食感が味わえるのが楽しい

氷の上には白いんげん豆の白餡ソースとミルクを使ったアングレーズソースがかかっており、この2種のソースと酸味のあるテリヤキバルサミコソースが、氷にも食材にも絶妙にマッチしているのだ。くちどけのよいふわふわの氷と、胡桃のザクザクとした食感のコントラストも心地いい。

海外ではあまり知られていない日本の古くからの文化

これほど計算しつくされた革新的なかき氷にこれまで出合ったことがあっただろうか? 食べ終えた後には、得も言われぬ幸福感が待っていた。

「かき氷って、平安時代から受け継がれる日本の食文化でありながら海外では未だあまり知られていない存在なんですよ。世界で吸収した食の知識をかき氷にフュージョン(融合)させ、唯一無二のかき氷を作りつつ、その魅力を今後は海外の方にも伝えていけたらうれしいですね」と語る、竹中さん。ユニークなアイデアでサプライズ感あふれるかき氷を生み出し続ける同店の今後に、これからも目が離せない。

上原食堂
[住所]東京都新宿区荒木町7-14 AXAS四ツ谷3-101
[営業時間]11時半~19時
[休日]不定休
[交通]地下鉄丸ノ内線四谷三丁目駅から徒歩3分

文・写真/中村友美
フード&トラベルライター。東京都生まれ。美術大学を卒業後、出版社で編集者・ディレクターを経験後、現在に至る。15歳からカフェ・喫茶店巡りを開始し、食の魅力に取り憑かれて以来、飲食にまつわる人々のストーリーに関心あり。古きよき喫茶店や居酒屋からミシュラン星付きレストランまで幅広く足を運ぶ。趣味は日本全国の商店建築巡り。

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中村友美
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