潔い美しさが佇む、牛込神楽坂『梅香』
ナスよ、あなたが主役です。と真正面から主張してくるビジュアルの潔さ。
味の要に大抜擢され、心なしか誇らしげに輝いて見えるのは私だけ? だってこれほどナスという素材に真っすぐ向き合い、魅力を生かしながら、涼し気に、大胆かつ繊細に仕立てられた麺が他にあります?
「普通の食材や料理を誠実においしく作ること」を信条とする伊藤シェフならではの味だ。
発想は四川料理で定番の蒸しナスの前菜から。つるつるとのど越しのいい細麺と合わせ、食欲が落ちる夏でも負担なくさっぱり味わえるようアレンジした。
ひんやり冷たい蒸しナスは口に含めばとろりと甘く、生姜、鶏ガラスープ、黒酢などを加えた醤油味のソースはクリアな旨みと豊かな香り。茗荷とカイワレも爽やかな名脇役。ふう、暑い夏も乗り切れそうだ。