サッカー選手を目指していた幼少の頃
ロッド・スチュワートというとスーパースターというイメージが強い。が、幼い頃はミュージシャン志望でなく、サッカー選手を目指していた。中学生時代にプロのサッカー・チームとの契約に成功した。が、出場機会に 恵まれずベンチを温めることが多かった。そこで目標をミュージシャンに切り替え、ギターとバンジョーを学んで、ヨーロッパ中を歌いながら放浪した。が、不法入国のために結局はイギリスに強制送還された。そしてR&Bクラブなどで歌うようになった。
ロッド・スチュワートの歌唱力をいち早く認めたのが、後に世界三大ギタリストのひとりとなるジェフ・ベックだった。ジェフ・ベックは1967年に結成したジェフ・ベック・グループにリード・ヴォーカリストとしてロッド・スチュワートを招き入れた。ジェフ・ベックのエキセントリックなギタープレイ、ロッドの巧みなヴォーカルの見事な絡み合いは、同じく三大ギタリストのジミー・ペイジ が結成したレッド・ツェッペリンにヒントを与えたと言われる。
1971年のNo.1ヒット「マギー・メイ」が影響を与えた?
ジェフ・ベック・グループ以降、後にザ・ローリング・ストーンズに参加するロン・ウッドと組み、フェイセズのメンバーとして歌う。その一方、ソロ・ワークも続け、1971年にはシングル「マギー・メイ」が英米でNo.1ヒットとなった。ただ同じNo.1でもイギリスよりアメリカの方がセール枚数は圧倒的に多い。そんな点もアメリカを本拠地にするというロッドの考えに影響したと思える。
ロッド・スチュワートを知るには絶好の入門盤、それが本作だ。
■『ATLANTIC CROSSING(アトランティック・クロッシング)』
1、「THREE TIME LOSER / スリー・タイム・ルーザー」
2、「ALRIGHT FOR AN HOUR / オールライト・フォー・アン・アワー」
3、「ALL IN THE NAME OF ROCK’N’ROLL / オール・イン・ザ・ネーム・オブ・ロックン・ロール」
4、「DRIFT AWAY / 明日なきさすらい」
5、「STONE COLD SOBER / ストーン・コールド・ソウバー」
6、「I DON’T WANT TO TALK ABOUT IT / もう話したくない」
7、「IT’S NOT THE SPOTLIGHT / イッツ・ノット・ザ・スポットライト」
8、「THIS OLD HEART OF MINE / ジス・オールド・ハート・オブ・マイン」
9、「STILL LOVE YOU / スティル・ラヴ・ユー」
10、「SAILING / セイリング」
岩田由記夫
1950年、東京生まれ。音楽評論家、オーディオライター、プロデューサー。70年代半ばから講談社の雑誌などで活躍。長く、オーディオ・音楽誌を中心に執筆活動を続け、取材した国内外のアーティストは2000人以上。マドンナ、スティング、キース・リチャーズ、リンゴ・スター、ロバート・プラント、大滝詠一、忌野清志郎、桑田佳祐、山下達郎、竹内まりや、細野晴臣……と、音楽史に名を刻む多くのレジェンドたちと会ってきた。FMラジオの構成や選曲も手掛け、パーソナリティーも担当。プロデューサーとして携わったレコードやCDも数多い。著書に『ぼくが出会った素晴らしきミュージシャンたち』など。 電子書籍『ROCK絶対名曲秘話』を刊行中。東京・大岡山のライブハウス「Goodstock Tokyo(グッドストックトーキョー)」で、貴重なアナログ・レコードをLINN(リン)の約400万円のプレーヤーなどハイエンドのオーディオシステムで聴く『レコードの達人』を偶数月に開催中。近著は『岩田由記夫のRock & Pop オーディオ入門 音楽とオーディオの新発見(ONTOMO MOOK)』(音楽之友社・1980円)。