特別機? お召機?
チャーター機として貸切運航される皇室専用の航空機は、「特別機」と呼ばれ、空港業務では「VIPフライト」と隠語で呼ぶこともある。昭和の時代には「お召機」と呼んだこともあったが、現在では聞かなくなった。航空自衛隊が運航する政府専用機も「特別機」と呼ぶが、民間機と異なる点はコールサイン=便名が「ジャパニーズ・エアフォースワン(JAF)」であることくらいだろうか。
海外への公式訪問は基本「政府専用機」
天皇、皇后両陛下の場合、航空機の利用は警備上の理由もあり、原則チャーター機を利用する。一方で、皇后陛下おひと方や、皇嗣同妃両殿下、宮家の方々の場合には、就航する航空会社の定期路線を使用し、必要な座席数を借り上げるので、偶然、同じ飛行機に乗り合わせることもあるわけだ。
海外へは基本、両陛下や皇太子殿下の公式訪問の場合には、航空自衛隊が運航する「政府専用機」を使用する。ところが、使用する空港の滑走路長の関係で、政府専用機を使用することができなかった際には、民間機をチャーターした例もある。皇嗣家や宮家の場合には、国内路線同様に定期就航する航空会社を利用する。
文・写真/工藤直通
くどう・なおみち。日本地方新聞協会皇室担当写真記者。1970年、東京都生まれ。10歳から始めた鉄道写真をきっかけに、中学生の頃より特別列車(お召列車)の撮影を通じて皇室に関心をもつようになる。高校在学中から出版業に携わり、以降、乗り物を通じた皇室取材を重ねる。著書に「天皇陛下と皇族方と乗り物と」(講談社ビーシー/講談社)、「天皇陛下と鉄道」(交通新聞社)など。