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特別機? お召機?

チャーター機として貸切運航される皇室専用の航空機は、「特別機」と呼ばれ、空港業務では「VIPフライト」と隠語で呼ぶこともある。昭和の時代には「お召機」と呼んだこともあったが、現在では聞かなくなった。航空自衛隊が運航する政府専用機も「特別機」と呼ぶが、民間機と異なる点はコールサイン=便名が「ジャパニーズ・エアフォースワン(JAF)」であることくらいだろうか。

1992(平成4)年から2019(平成31)年まで活躍した通称「ジャンボジェット」ボーイング747-47C型機を使用した政府専用機=2005(平成17)年6月26日、東京国際空港VIPスポット(羽田空港/東京都大田区)

海外への公式訪問は基本「政府専用機」

天皇、皇后両陛下の場合、航空機の利用は警備上の理由もあり、原則チャーター機を利用する。一方で、皇后陛下おひと方や、皇嗣同妃両殿下、宮家の方々の場合には、就航する航空会社の定期路線を使用し、必要な座席数を借り上げるので、偶然、同じ飛行機に乗り合わせることもあるわけだ。

海外へは基本、両陛下や皇太子殿下の公式訪問の場合には、航空自衛隊が運航する「政府専用機」を使用する。ところが、使用する空港の滑走路長の関係で、政府専用機を使用することができなかった際には、民間機をチャーターした例もある。皇嗣家や宮家の場合には、国内路線同様に定期就航する航空会社を利用する。

皇太子同妃両殿下(現・天皇、皇后両陛下)のトンガ王国ご訪問の際に運航した全日空による特別機=2015(平成27)年7月2日、東京国際空港(羽田空港/東京都大田区)

文・写真/工藤直通

くどう・なおみち。日本地方新聞協会皇室担当写真記者。1970年、東京都生まれ。10歳から始めた鉄道写真をきっかけに、中学生の頃より特別列車(お召列車)の撮影を通じて皇室に関心をもつようになる。高校在学中から出版業に携わり、以降、乗り物を通じた皇室取材を重ねる。著書に「天皇陛下と皇族方と乗り物と」(講談社ビーシー/講談社)、「天皇陛下と鉄道」(交通新聞社)など。

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