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「皇室の飛行機利用の内情(1)」では、皇室の飛行機利用のはじまりなどを振り返りました。本稿では、「料金はいくらなのか」「誰が支払っているのか」といった「価格決定へのプロセス」や「内訳」について考察します。

※トップ画像は、離陸のため滑走路へと向かう全日空特別機。操縦席の窓から掲出される日章旗は、離陸するまでに取り外される=2015年10月26日、富山空港(富山県富山市)

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特別機は入札制

皇室がチャーターする航空機の手配は、宮内庁みずからが行っている。これは、新幹線などの鉄道利用も同じことである。利用する区間が、たとえば羽田空港から新千歳空港だった場合、この区間に就航する複数の航空会社による入札が行われる。

落札した航空会社は、宮内庁と契約を結び、チャーター機を運航する。他に競合する航空会社が存在しない路線の場合には、就航している航空会社に依頼しており、その航空会社と宮内庁の間で随意契約が結ばれる。政府専用機など国の機関が運航する場合は例外で、あくまで国の行事における支援業務として扱われるため、貸切費用は発生しない。

お召機は2機体制で運航される。本務機(奥)と予備機(手前)=2015(平成27)年10月26日、富山空港(富山県富山市)

チャーター料金=入札価格

航空機のチャーター料金を算出する内訳は、「貸切航空運送に関わる料金」に基づいている。このなかには、「貸切飛行料金」「空輸料金」「着陸料」「航行援助施設使用料」が含まれており、貸切飛行料金は純粋に搭乗区間の料金であり、空輸料金は使用する機材の回送料金のことだ。A空港からB空港まで搭乗した場合、使用した機材はA空港まで戻す必要があり、この回送料金が空輸料金というわけだ。着陸料や航行援助施設使用料は、免除されるので料金は発生しない。

このほかに、機内で昼食を用意する場合には「機内御昼食代」が発生する。これらの合計額が、「チャーター料金=入札価格」となる。入札される価格は、航空会社ごとに算出方法が異なるようで、同額にはならない。たとえば、機内御昼食代(一例ではチャーター機に対して10万円)を請求する会社もあれば、そうでない会社もあるからだ。

価格は、航空会社によって差異があるため一概には言えないが、伊丹空港(大阪国際空港)から羽田空港(東京国際空港)までのチャーター料金の一例(2013年当時)では、B737-800型機(標準座席数165席)の使用で消費税込み167万4060円だった。ここに含まれる空輸料金は、84万4200円であった。国際線のチャーター価格だと、2015(平成27)年のトンガ王国ご訪問が6236万8100円、同年のパラオ共和国ご訪問が1210万円だった。

これらの価格は、宮内庁のホームページに掲載される「予算執行状況」で年度ごとに確認することができる。

離着陸までの間、特別機には日章旗が掲出される=2018(平成30)年3月28日、与那国空港(沖縄県八重山郡与那国町)
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工藤直通
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