お代替わりとともに
時代が平成になると、それまでのお召列車という考え方が一掃され、「国民と同じ手段で移動したい」とする上皇陛下(当時の天皇陛下)のお考えにより、お召列車も簡素化されるようになった。近鉄特急でも、車内を改装することは行わず、従来どおりの座席を使用するようになった。
上皇陛下は、平成年間に28回、令和では2回の延べ30回も近鉄特急を利用されている。乗車された車両は、「アーバンライナー(21000系)」、「伊勢志摩ライナー(23000系)」、「しまかぜ(50000系)」の3種類だった。いずれのときも、上皇后美智子さまも同乗された。
天皇陛下は、即位後の2019(令和元)年から2023(同5)年の間に4回の利用があり、乗車された車両は「しまかぜ(50000系)」であった。いずれのときも、皇后雅子さまも同乗された。
文・写真/工藤直通
くどう・なおみち。日本地方新聞協会皇室担当写真記者。1970年、東京都生まれ。10歳から始めた鉄道写真をきっかけに、中学生の頃より特別列車(お召列車)の撮影を通じて皇室に関心をもつようになる。高校在学中から出版業に携わり、以降、乗り物を通じた皇室取材を重ねる。著書に「天皇陛下と皇族方と乗り物と」(講談社ビーシー/講談社)、「天皇陛下と鉄道」(交通新聞社)など。