那須への東北新幹線利用はいつから
東北新幹線が開業した1982(昭和57)年のこと、那須御用邸へ向かう昭和天皇と香淳皇后は、それまでの在来線ではなく、大宮駅から那須塩原駅まで東北新幹線に乗車された。いわば“お試し”で乗車されたわけだが、東北新幹線で那須へ向かわれたのはこの一度だけであった。
平成の時代になると、那須御用邸へは東北新幹線の利用が定着するが、香淳皇后(当時は皇太后陛下)だけは、在来線のお召列車を引き続き利用された。
平成年間で那須への東北新幹線利用は、上皇ご夫妻(当時の天皇、皇后両陛下)だけでも49回を数えた。2000(平成12)年までは、一般客も利用する新幹線のグリーン車を貸し切りにして利用していたが、それ以降は専用の臨時列車を仕立てるようになった。
文・写真/工藤直通
くどう・なおみち。日本地方新聞協会皇室担当写真記者。1970年、東京都生まれ。10歳から始めた鉄道写真をきっかけに、中学生の頃より特別列車(お召列車)の撮影を通じて皇室に関心をもつようになる。高校在学中から出版業に携わり、以降、乗り物を通じた皇室取材を重ねる。著書に「天皇陛下と皇族方と乗り物と」(講談社ビーシー/講談社)、「天皇陛下と鉄道」(交通新聞社)など。