オバマ元大統領ももてなした!名店『銀座久兵衛』出身大将の「革新的な王道」の寿司 まさかの「クリームコロッケ」!この値段でこの内容!?の衝撃【実食レポート】

『神田錦町鮨たか晴』の店主・木目田隆晴さん

3人のチームワークが「革新的な王道」を生む 木目田さんとともに『たか晴』で働くのは、『銀座久兵衛』卒業後に他のジャンルの料理などを経験した谷川充尚(たにかわ・みつなお)さんと、ホールとマネージメント部門を主に担当する福永…

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日本で最も有名な寿司店の一つ『銀座久兵衛』で、オバマ元アメリカ大統領と安倍晋三首相(当時)の会食を担当した寿司職人が神田錦町で独立を果たした。その大将・木目田隆晴(きめだ・たかはる)さんが切り盛りする『神田錦町 鮨 たか晴』(東京・神田錦町)がコンセプトに掲げるのは「革新的な王道」だ。寿司や料理へのこだわりに加え、実食した感想、お得な情報もお知らせする。

名店『銀座久兵衛』で11年修業、2024年7月23日オープン

店主が日本各地を探し求めたという、樹齢250年を超えるという美しい吉野檜の一枚板のカウンターが迎えてくれる『神田錦町 鮨 たか晴』。2024年7月23日にオープンしたこちらは、名店『銀座久兵衛』で11年に渡り修業した木目田隆晴さんが独立した新進気鋭の寿司店だ。

コンセプトに掲げるのは「革新的な王道」。「基本はしっかりとした仕事をベースとしながら、変わること、変えていくことを恐れないこと。今日より明日、明日より明後日と、もっと良くなるために一歩二歩でも創意工夫をしていくことです」と話す。

『神田錦町 鮨 たか晴』の店主・木目田隆晴さん

「ディナーおまかせコース」1万9800円の味は……

ライブ感が楽しめるカウンターで、「ディナーおまかせコース」(1万9800円)をいただいた。
この日のメニューは下記の通り。

【つまみ】
・茶豆
・マダイ
・マダコ
・ノドグロ塩焼き
・車海老のクリームコロッケ
・岩もずく

【にぎり11貫】
・キンメダイ
・新イカ(スミイカ)
・本マグロ 赤身漬け
・ホッキ貝
・アジ
・車エビ
・イクラ
・コハダ
・煮ハマグリ
・中トロ
・煮アナゴ

・干瓢巻き

・しじみの味噌汁
・玉子焼き

今回は、新オープンを記念した、福井県の銘酒「黒龍」の特別なペアリング6種類(9900円)とあわせて楽しませていただいた。

「黒龍酒造」(福井県永平寺町)のもうひとつの銘柄「九頭龍 純米」をはじめ、酒米「山田錦」を35%まで磨いた大吟醸の「八十八号」「しずく」など初めて見る限定品の「黒龍」も次々と出てきて、それぞれ美しさがありつつも個性が炸裂した美味しさ。同行していた日本酒に造詣が深い編集長が「これほどまでに『黒龍』を堪能できるなんて!」としみじみと深く感動しているのが伝わってくる。

今回いただいた「黒龍酒造」の逸品。季節などでも変わってくる(提供画像)

「一期一会」を大切に、おもてなしの心が伝わってくる

価格帯としては、アッパーミドルという感じ。けれどネタはかなりこだわったものを提供している同店。いや、私自身は年に一度、大切な人と行きたいという、舌も心もほぐれる贅沢なレベルのお店だ。

「僕らにとっては日常でも、お客様にとっては例えば特別な記念日だったり、大きな病気を乗り越えられて最初のお食事だったりということもあります」と木目田さん。

魚介類のフライに驚く!「車海老のクリームコロッケ」

お店のコンセプトである「革新的な王道」を体現しているのが、旬を意識した魚介類のフライだ。例えば、夏場はアジフライ、冬場ならカキフライやホタテフライなどを予定している。

魚と主食の米がパン粉に代わって、そこにお酢と醤油を合わせることで、大きくみて寿司と一緒という、分解して再構築という解釈。非常にユニークだ。

この日提供されたのは「車海老のクリームコロッケ」。添えられているのは海老の味噌を使ったアメリケーヌソース。クリームの風味はやさしめでエビの旨みが全面に出てきているのはさすが。とっても贅沢なコロッケだ。アメリケーヌソースは、エビの味噌の美味しさが全面に出ている。素材へのリスペクトをビシバシと感じる。

車海老のクリームコロッケ

確かにこういうお寿司屋さんでフライが出てくるのは珍しいと思う。このアイデアはどこから得たのだろうか。

「フライはお寿司屋さんにはないでしょう?」ということも理由だそう。「あえてフライにしている」という当たり前の枠にハマらない、尖ったところが好ましい。

今回はアメリケーヌソースだが、シャリ用の合わせ酢と煮切りを合わせた特製の酢醤油を用意しているという。

ネタの提供順にも感じる独自のこだわり

にぎりについて、特に印象的だったネタを語りたかったのだが、本当にどれも文句なしの美味しさで正直絞れない。ひたすら幸せな時間だった。季節によっていろいろな魚が登場するし、魚へのアプローチもそれぞれ異なる。

『久兵衛』時代の仲買さんとも関係性を構築しているのだそう。

「先輩に言われたのは、豊洲市場(当時は築地)は魚を買いに行くのではなく、(仲卸に)顔を売りに行く、ということ。ですから、先日の台風のように天候不良などで魚が入りにくくても、(仲卸から)回していただけるなど、とてもありがたいです」

なお、本マグロは新進気鋭の仲卸『結乃花(ゆのか)』から仕入れている。

この日のマグロは青森産。マグロはサクごと漬けにし、表面だけほんのり火を通しているのが木目田流。昔ながらの伝統的な漬けの方法を取っており、熟成されたような旨みを狙っている。

アジも実にいい。間に薬味を挟んでいる
活車海老は味噌の部分も一緒に握り込んでおり、甘く濃密な美味しさ
この日のイクラは異なる仕事を施した2種類が供された

どれも良かったのだが、驚いたのがとても柔らかく繊細に炊かれた煮蛤。その美味しさに思わず笑みがこぼれまくってしまう。

「ハマグリはやはり春がいちばんいいのですが、僕自身すごく好きですし、お客様の反応もとても良いので、いいものが入ったときのみ提供しています」

中トロもその美しさ、美味しさにため息がこぼれる。いろいろなものがこぼれてしまうが、要するにほっぺたがずっと落ちているような状態だ。

干瓢巻き、すごい!

この日の最後は江戸前の巻物の代表選手、干瓢巻き。栃木県壬生の天日干し・無添加の干瓢を使用。柔らかくて繊細だ。干瓢巻きの美味しさがわかるようになったのって、実は結構な大人になってから。その喜びが味蕾を刺激しまくる。

「淡白なネタの後に強めのものをお出しするなど、にぎりの味わいにも緩急をつけています。指揮者のように流れをコーディネートしていると捉えていただけたら」(木目田さん)

そうか。「まるで寿司界のマエストロですね!」と話すと「そうなれたらいいですね」と笑う。

エビのすり身を入れて炭で焼いた玉子は、まるでプリンのようななめらかな舌触り

極めつけは「シャリ」の存在感!大将の所作の美しさにもうっとり

ネタの良さはもちろんなのだが、シャリの存在感が非常に印象に残った。口に含むとはらりとほぐれるが、お米の一粒ひと粒が主張してくる。というのも、粒が大きいものを使用し、米の粒だちをしっかりとさせる炊き方にこだわっているのだそう。

この日のお米はあきたこまち。元々付き合いのあるお米マイスター「銀座食糧販売」に相談して仕入れている。

お酢は東京・新木場に本社を置く醸造酢メーカー『横井醸造工場』(ヨコ井)の寿司店向け商品「琥珀」をメインに赤酢など3種類をブレンド。

試行錯誤して現在のシャリの形にたどり着いたそう。粒立ちも含めて力強いシャリなので、それに負けないネタを出しており、満足感が格別だ。

「このシャリでいこうと決めたからこそ、ネタの仕込みも変わってきます」

なお、海苔は香りの良さが抜群な伊勢のものを使用。諸説あるそうだが、今の伊勢湾の形が昔の江戸湾と近しいのだとか。豊富な養分を含んでいるため、これだけパワフルで香り高い海苔になっているのだ。

もちろん、新生姜を使った自家製のガリなども抜かりない。感動していたら、「シャリ、ガリ、あがり、海苔、『り』が付くものを褒めていただけるのはとてもうれしいです」と話す。

これらは脇役のようでお寿司屋さんにとって、重要なファクターなのだそう。

所在地の神田錦町は江戸時代からの武家町。諸説あるが、旗本・一色(いっしき)氏の屋敷が2軒あったことか

3人のチームワークが「革新的な王道」を生む

木目田さんとともに『たか晴』で働くのは、『銀座久兵衛』卒業後に他のジャンルの料理などを経験した谷川充尚(たにかわ・みつなお)さんと、ホールとマネージメント部門を主に担当する福永仁(ひとし)さんだ。

改革の象徴でもある、人気メニューであるフライを揚げているのは谷さん。日本酒を提供してくれるのは福永さんと、それぞれが持つ異なる力を集結したチームワークの良さを見ることができる。

瞬く間に予約が取れないお店になるのではないだろうか。というか、すでに週末は予約困難店になってきている。

『銀座久兵衛』を卒業し、その技を受け継ぎつつ、新たな挑戦を始めた『神田錦町鮨たか晴』。ぜひその美味しさを体験してみてほしい。

江戸時代頃から京都の町屋で使われていた白御影石の敷石。1枚石だったものを実家の造園業を継いだ兄が切ってくれたものだという

なお、応援購入できる「Makuake」では、9月29日(日)まで、コースがお得になるプロジェクトが実行中だ。
すでに、目標金額の30万円をはるかに超える、500万円以上が集まっていることからも、多くの期待が寄せられていることがわかる。ぜひプロジェクトページをご覧いただきたい。

https://www.makuake.com/project/sushitakaharu?utm_medium=display&utm_campaign=sushitakaharu&utm_source=Criteo_h&utm_content=nonRTG_Contextual&utm_id=427933&cto_pld=VkLwhwvgAABIvrcVGgXlmw

『神田錦町 鮨 たか晴』
住所:東京都千代田区神田錦町1−17−5 Daiwa神田橋ビル1F
電話:03-3518-9218
営業時間:12:00〜14:30(L.O 13:00)、17:00〜23:00(L.O.21:00)
定休日:月曜、祝日

文・写真/市村幸妙
いちむら・ゆきえ。フリーランスのライター・編集者。地元・東京の農家さんとコミュニケーションを取ったり、手前味噌作りを友人たちと毎年共に行ったり、野菜類と発酵食品をこよなく愛する。中学受験業界にも強い雑食系。バンドの推し活も熱心にしている。落語家の夫と二人暮らし。

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