チャーハンとラーメンのセット、略して“チャーラー”。愛知で親しまれるこのセットメニューを愛してやまない現地在住のライター・永谷正樹が、地元はもちろん、全国各地で出合ったチャーラーをご紹介する「ニッポン“チャーラー”の旅」。今回で第40回! 長野県長野市で見つけた“チャーラー専門店”。その実力のほどを試してきました。
画像ギャラリーチャーハンとラーメンのセット、略して“チャーラー”。愛知で親しまれるこのセットメニューを愛してやまない現地在住のライター・永谷正樹が、地元はもちろん、全国各地で出合ったチャーラーをご紹介する「ニッポン“チャーラー”の旅」。今回でついに第40回に到達! 長野県長野市で見つけた“チャーラー専門店”。その実力のほどを試してきました。
「黒中華そば」に興味津々
出張で長野県長野市へ行ってきた。松本市あたりまではわりと頻繁に行くのでワクワクする。長野といえば、何といっても日本屈指の蕎麦処だが、それには目もくれずチャーラーの旅をとことん楽しもうと決めていた。
ところが、長野市でチャーラーの店を検索しても、興味を惹かれる店は見つからなかった。もちろん、老舗の町中華や食堂はあるにはあるが、何となく味が想像できてしまう。検索範囲を広げると、松本駅から4kmほど離れた郊外にある店に目が釘付けになった。
その名も『中華そば 焼きめし やま本』。店名からもわかるように、ここはチャーラー専門店ではないか! やはり、チャーハンとラーメンというテッパンの組み合わせは、地域を問わず、人々に愛されているのである。これはもう、行くしかない。
長野市から国道19号線を使って約1時間半。店に到着したのは13時頃だった。ランチのピークが過ぎていたのもあって、店の裏にある駐車場は空いていた。
店の入口近くには券売機があり、ここで食券を買う。チャーラーは「中華そば·焼きめし(小)セット」と「黒中華そば·焼きめし(小)セット」があり、いずれも1200円。「黒中華そば」とは、たまり醤油を使った、いわゆるブラックラーメンの類なのだろうか。気になったのでこちらにした。
ちなみに「焼きめし(並)」のセットは1500円。「中華そば」、「黒中華そば」の単品は780円で、「焼きめし(小)」の単品は500円。セットで注文すれば80円安くなるというわけだ。
厨房には若い店主がひとり。当たり前だが調理も配膳もワンオペとなるので、焼きめしは作り置きなのかもしれないと覚悟した。しかし、ご飯や具材、調味料をしっかりと計量して、手際よく中華鍋を振っている。いやー、素晴らしい。
こうして目の前に運ばれたのが「焼きめし(小)」である。具材はチャーシューとネギ、卵。卵は少なめで、ビジュアルはまさに食堂で見かける焼きめし。では、いただきます!
チャーシューと焼きめしの同時食いは最高!
ややオイリーなのが少し気になったが、お米の一粒ひと粒がしっかりと油がコーティングされていてパラパラの食感。味付けは塩ベースで、チャーシューからしみ出た肉の旨みが見事に調和していて旨い。
ひと口食べたところで「黒中華そば」が着丼。目を引くのが丼一面に盛られたチャーシュー。デフォルトでこの量はハンパない。山盛りのネギもイイ感じ。写真には映っていないが、具材は他にもやしも入っていた。
まずはスープをひと口。うん、見た目よりも辛さはなく、むしろほんのりと甘い。やはり、これはたまり醤油なのかもしれない。スープは豚のブロック肉や豚骨がベースか? たっぷりのチャーシューはスープのダシをとるために使われたものと考えると納得がいく。京都の『新福菜館』や『第一旭』を思わせる、コクのある一杯だ。
中華そばと焼きめしを交互に食べるのは言うまでもないが、筆者のオススメはたっぷりのチャーシューと焼きめしの同時食い。焼きめしが肉の旨みマシマシになり、これがまた最高に旨い! 何なら、チャーシューとネギを焼きめしの上にのせて食べるのもアリだろう。
焼きめしがシンプルだからこそチャーシューとの同時食いが成り立つわけで、焼きめしもチャーシューがたっぷりと入っていたら、逆にしつこさが出てしまい台無しになる。「中華そば 焼きめし」を店名に冠しているだけに、しっかりと計算されているのだ。いやー、おいしかった! ご馳走様でした。
取材・撮影/永谷正樹
1969年愛知県生まれ。株式会社つむぐ代表。カメラマン兼ライターとして東海地方の食の情報を雑誌やwebメディアなどで発信。「チャーラー祭り」など食による地域活性化プロジェクトも手掛けている。
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