×

気になるキーワードを入力してください

SNSで最新情報をチェック

天才タマゴのキャッチフレーズ

初代エスティマと言えば、「天才タマゴ」というキャッチフレーズ。初代エスティマのデザインコンセプトがタマゴだった。その丸っこいデザインをタマゴと称しているわけだが、デビュー当初のキャッチフレーズは「新世代マルチサルーン」だった。ファミリーカー=4ドアセダンというイメージしかなかった日本に新たな提案を盛り込んでいたのだ。「天才タマゴ」というキャッチフレーズは、1992年1月にエスティマルシーダ/エミーナ(詳細は後述)が登場してからだったと記憶しているが、間違いだったらご指摘いただきたい。TVのCMで巨大なタマゴが道路を走るビジュアルはけっこうインパクトがあった。

初代エスティマが天才たるゆえんの第一は唯一無二の煌びやかなデザインにある。今では街中で見ることもほぼないが、このデザインは現代でも通用すると思う。

デザインコンセプトはタマゴで、曲面と直線を巧みに融合させている

ミドシップレイアウトを採用

天才たるゆえんのもうひとつがパッケージングにある。ハイエースしかりキャラバンしかり1BOXカーはエンジンを前席の下に配置するキャブオーバーだったが、初代エスティマは2.4L、直列4気筒エンジンを床下に搭載。床下にエンジンを搭載するとフロアが高くなってしまうのを避けるために、エンジンを75度前方にスラントさせて(傾けて)搭載。そのためトヨタでは、「スラントミドシップ」なる新語を作り、「F1カーもエスティマもクルマの真ん中にエンジンがある」とミドシップレイアウトであることを大々的にアピールしていた。

現代のミニバンはFFベースだが、初代エスティマはエンジンをミドに搭載するリア駆動とし、フルタイム4WDも設定されていた。サスペンションはフロントがストラット、リアはダブルウィッシュボーンで、高級サルーン並みの乗り心地を誇った。

床下にエンジンを75度傾けて搭載するミドシップ

当時としては破格に大きなボディ

初代エスティマは北米をターゲットとしていたこともあり、ボディサイズは全長4750×全幅1800×全高1820mm。今でこそ全幅が1800mmを超える日本車も珍しくなくなったが、当時はクラウン/セドリックでさえ全幅1950mmの5ナンバーサイズ。当時の最高級車の初代セルシオの全幅1820mmに匹敵する車幅はファミリー層が敬遠。幅広すぎたのだ。これはマツダの初代MPVも同様で、大きすぎたのが仇となった。

さらに車両価格は296万5000~335万円と高価だったから気軽に手を出せない。そんなこともあって初代エスティマは販売面で苦戦。カッコいいし、画期的だけど手が出せないクルマだったのだ。

では北米マーケットではどうだったか? 実は販売面では芳しくなかった。日本では大きすぎると言われたボディだが、皮肉にもアメリカでは逆に小さいと言われ人気が出なかった。ところ変われば品変わる、クルマ作り、クルマ販売の難しさがある。アメリカで苦戦したもうひとつの要因は2.4L、直4エンジンにあった。アメリカではエスティマクラスとなればV6が主流だったため性能面でも見劣りしたようだ。その対策として2.4L、直4エンジンにスーパーチャージャーを装着したモデルを追加したが奏功せず。一度付いたイメージはなかなか払拭できないものなのだろう。

初代エスティマの車幅は1800nnで初代セルシオの1820mmと大差なかった
次のページ
小エスティマの登場で状況一変...
icon-next-galary
icon-prev 1 2 3 4 5 6icon-next
関連記事
あなたにおすすめ

この記事のライター

市原 信幸
市原 信幸

市原 信幸

最新刊

全店実食調査でお届けするグルメ情報誌「おとなの週末」。11月15日発売の12月号は「町中華」を大特集…