小さくないのになぜミニバン?
今でこそ当たり前のように使っているミニバンという名称だが、当時は違和感があった人は多いはずだ。そもそもミニバンという言葉は、アメリカで生まれた。SUVの名称もそうだが、アメリカがクルママーケットの中心だったことを痛感する。
ミニバンの元祖と言われるのが1983年に登場したクライスラーのダッジキャラバン。アメリカでは全長5~6mのフルサイズバンが人気だが、ダッジキャラバンはそれよりも小さいことからミニバンと呼ばれるようになったという。
そもそも日本ではフルサイズバンという概念がなく、バンと言えば商用車のため、「小さくないのになぜミニバンと呼ぶ?」と感じたのも当然のこと。
その北米のミニバンマーケットに日本メーカーでいち早く参入したのがマツダで、北米でMPVを1988年から販売(日本では1990年)。それに続いたのがトヨタで、アッと驚くプレビアを登場させた。つまり、初代エスティマに関しては北米ありきで開発され、日本でも販売されたというのが正解。
10年先のクルマ
量産車とは思えないような煌びやかなデザインが与えられた初代エスティマは従来の1BOXカーの概念を大きく変えた。真横から見た時の美しいワンモーションフォルムは、今見ても斬新だ。「10年先取りしたデザイン」と言われていたのも納得だ。
そしてエクステリアに負けず劣らずインテリアが先進的だったのも特筆。うねるような曲線を配したインパネ部分などチャレンジングでもあった。もちろんミニバンとして当時重宝されていたシートアレンジも多彩で、新たな価値観を提案していた。そういった意味ではBOXタイプミニバンのパイオニア的存在と言ってもいいだろう。