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お祝い事にいただく小さな重ね餅「小戴(こいただき)」

やがて美智子さまは、三人の子宝に恵まれた。「まるで合宿所のよう」と美智子さまがおっしゃった、にぎやかな毎日をお過ごしになられたのだ。年月が経ち、皇太子殿下は天皇陛下となられ、美智子さまは皇后陛下となられた。

東御苑本丸大芝生

2018年(平成30年)の美智子さまのお誕生日には、浩宮さまと雅子さま、秋篠宮さまと紀子さま、黒田慶樹さんと清子さんを招いて家族でご夕餐を祝われた。メニューは、真鯛の重ね造りや紅白水引大根、蟹しんじょの袱紗(ふくさ)仕立て、柚子釜入り膾(なます)、フカヒレのスープ仕立て、小鯛の化粧塩焼きなどであった。

祝膳のメニューは年ごとに変わるが、いつも添えられる料理があった。それは「小戴(こいただき)」と呼ばれる丸い小さな餅である。

まずは、餃子の皮のように丸く平たく延ばした「小戴」(餅)に、塩味の小豆餡を少し乗せ、硯蓋に積み上げたものをおふたりにご覧いただく。その後、焼いて甘辛の醤油にからめた「小戴」が出され、それを召し上がられるのである。「小戴」には、温酒(清酒)が添えられる。

小さな重ね餅は、「いただきもち」ともいわれ、一般でも昔は祝い事にそえられていたという。天皇家は日本に昔から伝わるものを大切にされている。お祝のときに食べた料理は、いつまでも心に残っていくだろう。(連載「天皇家の食卓」第24回)

インスタグラムの宮内庁公式アカウント

参考文献/『宮中 季節のお料理』(宮内庁監修、扶桑社)、『美智子皇后「みのりの秋」』(渡辺みどり著、文春文庫)、『美智子さまのお着物』(文・木村孝、渡辺みどり 朝日新聞出版編 朝日新聞出版)

※トップ画像は、(C)JMPA

文・写真/高木香織
たかぎ・かおり。出版社勤務を経て編集・文筆業。皇室や王室の本を多く手掛ける。書籍の編集・編集協力に『美智子さま マナーとお言葉の流儀』『美智子さまから眞子さま佳子さまへ プリンセスの育て方』(ともにこう書房)、『美智子さまに学ぶエレガンス』(学研プラス)、『美智子さま あの日あのとき』、『日めくり31日カレンダー 永遠に伝えたい美智子さまのお心』『ローマ法王の言葉』(すべて講談社)、『美智子さま いのちの旅―未来へー』(講談社ビーシー/講談社)など。著書に『後期高齢者医療がよくわかる』(共著/リヨン社)、『ママが守る! 家庭の新型インフルエンザ対策』(講談社)。

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