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チームラボが生み出すアートで、お化け屋敷が楽園に

さきほどの大浴場と左右対称の湯屋にも美しい花が出現するが、こちらは「チームラボ かみさまがすまう森-ジーシー」で11月初旬〜7月中旬に展示される《廃墟の湯屋のフラワーズボミング》という作品。この場所で7月中旬〜11月初旬に展示される作品《グラフィティネイチャー》を訪れた人々が紙にお絵かきした花々をスキャンし、デジタルで描き出したものである。

初めは「お化け屋敷」みたいな暗闇から始まった「廃墟ツアー」だったが、ピンクや黄色、青など色とりどりの美しい花々に囲まれているうちに、御船山楽園で自然散策をしているような清々しい気分に変わっていた。

御船山楽園ホテルの廃墟エリアは、単なる過去の遺産ではない。デジタルテクノロジーの力で生まれ変わったこの空間は、昭和の残骸が新たな命を得た、アート体験の場なのである。

「サウナシュラン」3年連続グランプリ!

また、このホテルはサウナー垂涎、サウナ界のミシュランこと「サウナシュラン」3年連続グランプリのサウナがある宿でもある。

「らかんの湯」のドライサウナ(時間によって男女入れ替え) 提供画像・御船山楽園ホテル

地元の間伐材を薪サウナの薪に、御船山の古石をサウナストーンに。さらにサウナストーンに水をかけて熱い蒸気を出すセルフロウリュには「御船山の天然水」や、隣接する嬉野(うれしの)市名産「嬉野茶」の「ほうじ茶」を使っている。

薪で暖をとる休憩スペース。ここで、長崎県五島列島の郷土食「かんころ餅」を焼くのが楽しい 
2024年に復活した薪サウナ

薬草サウナには遊休地で育てたよもぎを用いる。水風呂もやわらかな水質の御船山の天然水。外の景色を見せる開放感のある休憩室では暖炉でかんころ餅を焼いて食べるなど、当地の自然と味覚を満喫できるサウナである。

ひとしきり廃墟巡りを楽しんだら、今度は温泉とサウナ浴場へ。現実と幻想が交差したホテルで“整って”帰ろう。

「らかんの湯」のサウナに併設した水風呂(時間によって男女入れ替え) 提供画像・御船山楽園ホテル

【武雄温泉】
730年頃成立した「肥前国風土記(ひぜんのくにふどき)」にもその名が記された古湯(ことう)で、神功(じんぐう)皇后が凱旋の際、太刀の柄で突いて温泉が湧き出してきたと伝わる。泉質は、無色透明でクセの少ない、柔らかな肌触りの単純温泉で、天下統一を成し遂げた豊臣秀吉が16世紀末に朝鮮出兵をした時には兵士の療養のための湯治場として使われた。武雄のシンボルともいえる竜宮城を思わせる天平式の楼門は大正4(1915)年の完成で、歓楽街として賑わった。御船山楽園ホテルは温泉街からは少し離れた場所にある一軒宿。

【宿データ】
『御船山楽園ホテル』
住所:佐賀県武雄市大字武雄4100
電話:0954-23-3131
泉質:単純温泉
アクセス:福岡空港から車で約1時間10分
https://www.mifuneyama.co.jp

文・写真/野添ちかこ
温泉と宿のライター、旅行作家。「心まであったかくする旅」をテーマに日々奔走中。「NIKKEIプラス1」(日本経済新聞土曜日版)に「湯の心旅」、「旅の手帖」(交通新聞社)に「会いに行きたい温泉宿」を連載中。著書に『旅行ライターになろう!』(青弓社)や『千葉の湯めぐり』(幹書房)。岐阜県中部山岳国立公園活性化プロジェクト顧問、熊野古道女子部理事。
https://zero-tabi.com/

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野添 ちかこ
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