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「豊橋うなぎ」の品質の高さに驚愕!

実は、筆者は豊橋市内でうなぎの養殖から卸業、加工、販売を手がける『夏目商店』を取材したことがある。豊橋のうなぎは生産量こそ三河一色に追いつかないものの、品質に絶対の自信を持っていた。もっと多くの人々にPRしようと地域ブランド(地域団体商標)をめざして手続きを進め、2012年に「豊橋うなぎ」として特許庁に商標登録されたのだ。

豊橋市牟呂町にある『夏目商店』の直売店『鰻夏(まんか)』。白焼きや蒲焼きなどを販売している
豊橋市牟呂町にある『夏目商店』の直売店『鰻夏(まんか)』。白焼きや蒲焼きなどを販売している

地域団体商標とは、地域産業の競争力と強化、地域経済の活性化を目的に特許庁が2006年に開始した制度で、うなぎに関する登録は全国でも愛知県の「一色産うなぎ」と「豊橋うなぎ」、静岡県の「浜名湖うなぎ」の3件のみ

しかし、本誌2024年8月号で取材した三河一色の養鰻業者も相当なこだわりを持っていた。では、一色産うなぎと豊橋うなぎの違いはどこにあるのか。

『夏目商店』の養鰻池での池上げの様子
『夏目商店』の養鰻池での池上げの様子

『夏目商店』の取材時に、養鰻池で行われた「池揚げ」を見学させてもらった。養鰻池では7人がかりで池全体に張った網を四方から手繰り寄せて、うなぎを籠の中に入れていた。網に引っかかったうなぎは傷めないように細心の注意を払いながら丁寧に扱っている姿が印象的だった

池上げされたばかりのうなぎ
池上げされたばかりのうなぎ

池上げしたうなぎは、立場(たてば)と呼ばれる施設で1~2日、エサを与えず籠の上から水を流し続ける泥抜きを行う。泥を吐かせることで臭みが少なくなるだけではなく、身が締まって余分な脂も落ちるため、より一層おいしいうなぎになるのだ。

『夏目商店』の夏目義秀社長は池揚げされたばかりのうなぎを裂いて、蒲焼きにして食べさせてくれた。うなぎは大好物だが、今さっきまで養鰻池で泳いでいたうなぎゆえに、さすがに泥臭いのではないかという不安もあった。

直売店『鰻夏』の炭火と同じ遠赤外線効果があるうなぎ専用の焼き台で焼き上げる
直売店『鰻夏』の炭火と同じ遠赤外線効果があるうなぎ専用の焼き台で焼き上げる

ところが、泥臭さはまったくなく、噛むごとに皮と身の間にある脂がジュワッと溢れ出して、口の中で旨みとともに広がったと思えばスッと消えていく。まるでマグロのトロのような脂の口溶けを堪能することができた。

「豊橋うなぎは地下水を使っているので臭みが少ないのだと思います。うなぎはきれいな水では餌を食べないので、自然に近い環境を作らなければなりません。豊橋の養鰻はうなぎの飼育に適した水を作る技術が長けていると思っています」と、夏目社長。

来年の土用丑のシーズンに本誌でまたうなぎ特集を組むならば、ぜひとも豊橋うなぎを食べ歩いてみたい。編集長、ご検討ください!

取材・撮影/永谷正樹

1969年愛知県生まれ。株式会社つむぐ代表。カメラマン兼ライターとして東海地方の食の情報を雑誌やwebメディアなどで発信。「チャーラー祭り」など食による地域活性化プロジェクトも手掛けている。

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永谷正樹
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