軽井沢を目で舌で感じられるメインダイニング
お腹が空いたら、重厚感ある1階の「メインダイニングルーム」へ。格子状に仕上げた個性的な折上げ格天井や、象徴的なステンドグラスが特別な雰囲気を演出している。ステンドグラスに描かれているのは、軽井沢で余暇を楽しむ人々の日常だ。山の麓に停まるクラシックカーやゴルフバッグ、テニスラケットを手に佇む人の姿に軽井沢の歴史を垣間見ることができる。
開業当初からのレシピを再構築した同店では、130年間脈々と受け継がれてきた伝統の味を踏襲したスープやソースを使いつつも、軽井沢らしさを感じる食材、ハーブの香りや鮮やかな彩りをプラスすることで、オーセンティック(伝統に忠実)でありながら軽やかな味わいの料理を提供している。食事をさり気なく彩る、ホテルのシンボル・すずらんが描かれたテーブルウェアも必見だ。
昭和レトロに浸る、非日常空間でここでしか味わえない一杯を
“非日常のくつろぎ”をコンセプトに18時から開放している「バー」は、まるで昭和にタイムスリップしたかのような、独特の高揚感が感じられる空間が心地いい。店内の照明はシャンデリアからモダンなデザインの照明へ一新したそうだ。
1800円から楽しめるカクテルの中でもいちおしは、オリジナルの「軽井沢の夕焼け」だ。ジンベースに杏やレモンを使用し、懐かしい味わいに仕上げた一杯は、ここでしか味わえない。赤い絨毯やベルベット調のカーテンに包まれたクラシカルな空間で、バーテンダーが手がけるこだわりの一杯を堪能しよう。
「創業当時より大切に受け継がれてきた『ホテルは人なり』という理念を第一に継承しつつ、次の100年後にも愛され続けるために、新鮮かつあたたかみのあるホテルを、皆さまとともに作り上げていきたいと思っております」と、ホテル総支配人の佐々木一郎さん。
軽井沢の歴史を100年、200年先へと繋いでいけるよう、新しい風を取りこみ、新たに歩み始めた『万平ホテル』。この秋は都会の喧騒を離れ、本物の風格を感じるクラシックホテルに足を運んでみては。
■『万平ホテル』
[住所]長野県軽井沢町軽井沢925
[電話]0267-42-1234
[交通]JR北陸新幹線「軽井沢駅」からタクシー約5分
[料金・宿泊プラン]「グランドオープン記念 クラシックプラン」1名6万8000円~(2名1室利用時)
文・写真/中村友美
フード&トラベルライター。東京都生まれ。美術大学を卒業後、出版社で編集者・ディレクターを経験後、現在に至る。15歳からカフェ・喫茶店巡りを開始し、食の魅力に取り憑かれて以来、飲食にまつわる人々のストーリーに関心あり。古きよき喫茶店や居酒屋からミシュラン星付きレストランまで幅広く足を運ぶ。趣味は日本全国の商店建築巡り。