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ところが、問題があります。川の流域には、人間の生活が横たわっています。川が汚れると、海のプランクトンの種類が変わり、渦鞭毛藻という赤潮プランクトンが発生します。それを食べると、白いカキが血ガキとよばれる真っ赤な身になるのです。川が汚れると起こる赤潮の原因は、すべて陸側(人間の側)にあるのです。

ナラやクヌギなどは、ドングリの実をつけますので、森の動物や鳥たちのえさとなります。冬が近づくと葉が落ち、土の中にいる虫たちのえさになります。落ち葉が腐葉土になると、雨がふるたびに養分が地下水に溶け、川に流れ、農作物を育てます。さらに海に下ると、汽水域で、植物プランクトンや海藻を育てます。

海がきれいであるためには、森が豊かであることが大切なのです。森は海に恋い焦がれ、海は森を恋いながらともに生きる――。そのためには山と海を大切に思う人の心が大切です。漁師たちは山に広葉樹を植えながら、人の心にも木を植え続けているのです。

カキってどんな貝? ~カキの育ち方と養殖法

みなさんに、カキ養殖業の一年をご紹介しましょう。カキ養殖業は、まずカキの子ども(種ガキ)をとることから始まります。

カキは、英語で名前にRがついている月が、カキがおいしいといいます。9月(September)から4月(April)までの8カ月間です。これは北半球の大半の国であてはまります。夏になって水温が上がってくると、カキは産卵の準備に入るからです。

マガキという種類のカキは、広島や宮城などほとんどの産地で養殖されています。梅雨が明けて、暑い日が続くようになると水温もどんどん上がり、カキの卵は成熟してきていよいよ産卵を開始します。まるで牛乳のような乳白色の液体を海中にふきだすのです。一つのカキが産卵を開始すると、あっちでもこっちでも、いっせいに始まりますので、カキの筏のまわりは乳白色になります。

メスのカキ一個は、だいたい1億個の卵を産みます。オスは10 億個もの精子を放出するのです。カキの卵は受精し、約3週間後、海の中をただよいながら成長します。約300ミクロン(1ミクロンは1ミリメートルの1,000分の1)の大きさになると、なにかにくっつきたくなる性質があります。

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このとき、ホタテ貝の貝殻のまんなかに穴を開け、針金を通したコレクター(付着器)を海に入れてやるのです…
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高木 香織
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