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カキが旨い季節がやってきた。衣はカリッと身はジューシーなカキフライ、セリがたっぷり入ったカキ鍋、炊きたてのカキご飯。茹でたカキに甘味噌をつけて焼くカキ田楽もオツだ。カキ漁師は、海で採れたてのカキの殻からナイフで身を剥いて、海で洗ってそのまま生で食べるのが好みだという。レモンをちょいと絞ればなおさらよい。うーん、旨い!

そんなカキ漁師の旅の本が出版された。カキじいさん、世界へ行く!には、三陸の気仙沼湾のカキ養殖業・畠山重篤さんの海外遍歴が記されている。畠山さんは「カキ養殖には、海にそそぐ川の上流の森が豊かであることが必須」と、山に植林する活動への取り組みでも知られている。

「カキをもっと知りたい!」と願う畠山さんは不思議な縁に引き寄せられるように海外へ出かけていく。フランス、スペイン、アメリカ、中国、オーストラリア、ロシア……。世界中の国々がこんなにもカキに魅せられていることに驚く。そして、それぞれの国のカキの食べ方も垂涎だ。

「カキをもっと知りたい!」と願う畠山さんは不思議な縁に引き寄せられるように海外へ出かけていく。フランス、スペイン、アメリカ、中国、オーストラリア、ロシア……。世界中の国々がこんなにもカキに魅せられていることに驚く。そして、それぞれの国のカキの食べ方も垂涎だ。

これからあなたをカキの世界へ誘おう。 連載第31回『「旨いかき」を探してアメリカへ渡った日本人が、オイスターバー発祥の地「ニューオーリンズ」で見た驚きの光景』に引きつづき、今回は世界のカキと養殖にまつわる物語だ。そもそもカキとはどんな貝なのだろうか。

【前回まで】
ミシシッピ川源流近くのメサビ鉄山を訪ねる旅が、写真家の大竹英洋君の提案で始まった。森と海のつながりを探るカキじいさんは、妻らとともにミネソタへ向かい、スペリオル湖畔から鉄鉱石輸送の歴史や五大湖の地理を知る。翌日、世界最大級の露天掘りであるメサビ鉄山に立ち、赤い大地が太古の植物プランクトンと鉄の反応によって生まれたことを実感。ミシシッピ川源流で採水したボトルを抱え、川の“味”にまで鉄の気配を感じ取ったカキじいさんは、一路、河口のニューオーリンズへ向かう。オイスターバー発祥の地で出会ったのは、黒人労働が支えてきた干潟のカキ養殖、名物ガンボスープ、そして複雑に入り組むミシシッピ・デルタの巨大漁場。行き当たりばったりの“なんとかなるさ旅”は、カキの歴史とアメリカ南部の影を映し出し、ワニが闊歩する亜熱帯の海へと続いていく…。

「森は海の恋人運動」って何だろう?

「森は海の恋人運動」――。この標語のようなスローガンは、1989年(平成元年)、宮城県の気仙沼湾の海辺で生まれました。カキを養殖している漁師さんたちが、海から遠く離れた山に、ブナ、ナラ、ミズキなどの落葉樹の森づくりを始めたのです。

カキの漁場は、世界中どこでも、河川の水と海水が混じる汽水域です。森の腐葉土に含まれる養分が、カキのえさの植物プランクトンを増やしているのです。ですから、川の領域の森林が豊かであれば餌が多く、おいしいカキが育つのです。

カキにとっていいプランクトンは珪藻類というものです。カキは呼吸のために1日200リットルもの海水を吸い、エラという器官にプランクトンをひっかけて食べているのです。ですから、珪藻類が多くいると、カキのえさがたくさんあるので育ちがよくなります。

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ところが、問題があります。川の流域には、人間の生活が横たわっています。川が汚れると、海のプランクトン…
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高木 香織
高木 香織

高木 香織

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