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カキが旨い季節がやってきた。衣はカリッと身はジューシーなカキフライ、セリがたっぷり入ったカキ鍋、炊きたてのカキご飯。茹でたカキに甘味噌をつけて焼くカキ田楽もオツだ。カキ漁師は、海で採れたてのカキの殻からナイフで身を剥いて、海で洗ってそのまま生で食べるのが好みだという。レモンをちょいと絞ればなおさらよい。うーん、旨い!

そんなカキ漁師の旅の本が出版された。『カキじいさん、世界へ行く!』には、三陸の気仙沼湾のカキ養殖業・畠山重篤さんの海外遍歴が記されている。畠山さんは「カキ養殖には、海にそそぐ川の上流の森が豊かであることが必須」と、山に植林する活動への取り組みでも知られている。

「カキをもっと知りたい!」と願う畠山さんは不思議な縁に引き寄せられるように海外へ出かけていく。フランス、スペイン、アメリカ、中国、オーストラリア、ロシア……。世界中の国々がこんなにもカキに魅せられていることに驚く。そして、それぞれの国のカキの食べ方も垂涎だ。

連載第32回「アメリカ、フランスでも大人気…!日本の「旨いかきの旬」を覚える超簡単な方法とその理由を解説【カキじいさん、世界へ行く】」に引きつづき、世界のカキと養殖にまつわる物語へいざなおう。そもそもカキとはどんな貝なのだろうか。

【前回まで】
「おいしいカキは森が育てる」ことを身をもって知っている気仙沼の漁師たち。落葉樹の腐葉土がつくる養分は川を下り、珪藻を育て、カキの身を太らせる。一方で、人間の生活排水が川を汚せば赤潮が発生し、そのしわ寄せは海の環境汚染に即つながってしまう。山と海は恋人同士――その思いを行動に変えたのが、カキじいさんをはじめとする人々の「森は海の恋人運動」なのだ。

鉄を食べる植物プランクトンって、おいしいの?

わたしのカキ養殖場には、たくさんの子どもたちが体験学習に来ます。その子どもたちに、きれいな海ですくった植物プランクトンを一口飲んでもらうことがあります。

「少ししょっぱいけど(海ですからね)、キュウリの味がする」

と言った子がいました。そうです、これが植物プランクトンの味です。カキはこの植物プランクトンを食べて育つのです。

以前、漁師さんたちが山に植樹をしているという話をしました。ブナやナラなどの落葉広葉樹の葉が落ち、腐葉土になります。このとき「フルボ酸」というキレート物質が生まれます。キレートとは、ラテン語で「カニのはさみ」の意味で、鉄分を挟むような形になります。

鉄は酸素にふれると錆びて沈殿してしまいます。ところがキレートのかたちになると、酸素と出合っても錆びず、水に浮かぶのです。こうして森から海に鉄分が運ばれます。

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じつは森の植物プランクトンの発生にいちばん大切な成分は、鉄なのです。植物の緑は葉緑素(クロロフィル)…
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高木 香織
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