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「ガラスの容器は、絶対に使っては駄目です」

と言っていたのです。ガラスはごく微量ですが鉄が含まれていて、そのデータはまったく役に立たない、というのです。容器は、プラスチックのペットボトルを使うこと。何度も学生にそう言うのを耳にしていました。

まずミシシッピ源流の水を、ペットボトル3本に採りました。ホテルの冷凍庫で凍結してもらうのです。源流から川沿いに半日ほどかけて飛行場のある州都ミネアポリスまでくだりました。もちろん途中で採水しました。

本当は車で河口のニューオーリンズまでくだりたいのですが、10日はかかりそうです。8月8日でお盆が近づいていました。お盆は先祖を祀る大事な行事です。家に帰らなければなりません。セントポール空港近くのホテルに1泊し、翌朝、ニューオーリンズ目指して飛び立ちました。

到着した空港名は、ルイ・アームストロング空港。「サッチモ」の愛称で知られるジャズの神様の名です。

大西洋のカキを食べる

ニューオーリンズといえば、ジャズとビールと、カキ。オイスターバーの発祥地です。空港に降りると、圧倒的に黒人の人が多いのです。皆さん生き生きしています。わたしたちも、ワクワクしてきました。

外に出るとミシシッピ上流とは暑さがまったく違います。それもそのはず、隣はテキサス州。その隣はメキシコですからね。

ここがアメリカ南部か。とうとうやってきました。

今回のアメリカ・ミシシッピ行きは、上流部は大竹君の案内でよい旅となりました。でも、下流のニューオーリンズにはカキを養殖している知り合いがいませんでした。じつはわたしは旅に出るとき、細かい予定は立てず行きあたりばったりが多いのです。”なんとかなるさ旅”が好きなのです。

海を目指して車を走らせると、カキの絵がデザインされているレストランがありました。ちょうど昼食の時間でしたので、店に入り食事をすることになったのです。店内には昔の養殖場の写真がはられていて、まるで博物館に入ったみたいです。

「カキじいさんの勘はすごいですね」

と、津田潮さんも大竹君も驚いています。

ミシシッピデルタのカキ養殖は、地蒔き式といって、広大な干潟にカキの種苗(稚貝)をバラまいて養殖する方法です。

昔、万石浦で小規模ですが、この方法で養殖をするのを見たことがあります。若い頃、フランスに視察に行ったとき、大規模な養殖場は見ました。この方式は、干満の差が大きく、大きな干潟が出現する海で行われています。

ちなみに日本では、ほとんど垂下式養殖です。今から百年ほど前、宮城新昌が発明しました。筏を浮かべてカキの稚貝をぶら下げて養殖する方法です。

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店に貼ってある写真を見て気が付いたことがあります。干潟で働いている人がほとんど黒人なのです。東北大学…
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高木 香織
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