『腸活』の起源と、これからの研究課題
──『腸活』という概念の源流は何なのでしょうか? また、『腸活』を研究するにあたり、これからの課題はどのあたりにあるのでしょうか?
内藤/ 研究の世界では、1970年代に食物繊維摂取が少ないと大腸がんリスクが高くなるという報告がされたことから研究が進み、だんだんと食物繊維や腸内細菌が健康の維持増進に重要なはたらきをしているということが解明されていきました。食事や排泄は私たちにとって非常に身近な共通の話題であり、悩みを抱える人が多いことも腸活という概念の広まりを後押ししたのではないでしょうか。
しかしながら現在でも未解明の部分はあり、興味深い分野の1つは『時間栄養学』です。同じ食品でも「いつ食べるか」によって効果が異なることが分かっており、私たちの体内時計が深く関わっています。腸内細菌との関連も活発に議論されており、今後は摂食タイミングを意識した腸活に関する知見が出てくると期待できます。すでに時間栄養学の概念に注目した市販食品も登場しているようです。
──グアー豆食物繊維についてもう少しお尋ねします。 グアー豆食物繊維が優れた特性を持つのはわかりましたが、今後ウェルビー・フード市場においてどのように展開していくと予想しますか?
内藤/ グアー豆食物繊維は低FODMAP※や科学的知見の豊富さから、腸活に関連したウェルビー・フードの中でも特異な地位を確立しつつあるかと思います。(※FODMAPとは、小腸で吸収されにくい4種類の発酵性糖質を指します)
腸内細菌は腸のみならず脳や肝臓といった全身の健康に関わっていることが報告されており、研究の発展にともなってこれまで認知されていなかった新たなグア―豆食物繊維の生理効果が明らかになるのではないかと期待しております。
──グアー豆食物繊維を使った代表的な商品は何ですか? 選び方のポイントなどありますか?
内藤/ グアー豆食物繊維が、原料として使われている商品例としては下記があります。
・サンファイバー (株)タイヨーラボ
・サイクルミー 食物繊維がとれる香るジャスミンティー (株)ジャスティス
・サイクルミー グアー豆食物繊維がとれるゼリープラス (株)ドットミー
上記以外にも味や商品形態など、意外といろいろあるかもしれませんが、まずは手に取りやすく続けやすいものを試してみるとよいでしょう。市販品の中には乳酸菌のようなプロバイオティクスと組み合わせた製品もあり、目的や体質に合わせて利用すればよりよい効果が期待できるかもしれません。
内藤裕二/京都府立医科大学 大学院医学研究科 生体免疫栄養学講座 教授
農林水産省農林水産技術会議委員
2025大阪・関西万博大阪パビリオンアドバイザー
著書:『消化管(おなか)は泣いています』(ダイヤモンド社)、『すべての臨床医が知っておきたい腸内細菌叢〜基本知識から疾患研究、治療まで』(羊土社)、『酪酸菌を増やせば健康・長寿になれる』(あさ出版)、『すごい腸とざんねんな脳』(統合法令出版)など多数
メディア出演:ヒューマニエンス、あさイチ、クローズアップ現代(NHK)、世界一受けたい授業(日テレ)など
文/深澤紳一(ふかさわ しんいち):PCゲーム雑誌から文芸誌、サブカルチャー誌まで幅広い寄稿歴をもつライター。レーシングスクールインストラクターなども務めつつ、飼犬のために日々働く愛犬家。
写真/太陽化学株式会社、Adobestock(アイキャッチ画像:VectorMine@Adobe Stock)